ジャニーズ・BM問題で浮上「同族経営」は悪なのか 実は日本企業の9割はファミリービジネスだ

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近年、マスコミも経営学の研究業績を引用し、ファミリービジネスや老舗を絶賛するケースも増えてきたが、相変わらず創業者、創業家、世襲に対する批判的姿勢も衰えていない。

では、どちらが正論なのか。答えはどちらとも言えない。ファミリービジネスだから、そうではないから、という二者択一の論理で良し悪しは判定できない。さらに、ひと昔前では、あまり見られなかった条件が加わるようになってきた。それは、人心の変化である。「創業家だから」という影響力は昔ほど通じなくなってきているのではないか。

「人の上に立つ」納得した理由が必要

会社をはじめとする我が国の組織では、伝統的に日本人特有の「しようがない」という潜在心理が行動の規範になっている。日本では封建社会が長い間続き、明治以降も上意下達の官僚型組織が官民両方で支配していた。ここでは、「お上が言っていることだから、しようがない」となる。

福澤諭吉氏の名言を引用すれば、「天は人の上に人を造らず、人の下に人を造らず」という平等概念が定着しつつある現代においては、「なぜ、この人を尊敬しなくてはならないのか」「なぜ、納得がいかない指示に従わなくてはならないのか」と問われたとき、論理的に説明できる理由がなければ、人々は腑に落ちない。

ましてや、創業者の後継者となると、単なる世継ぎ、好き嫌いによる任命、と従業員から見られるようでは、協力どころか反発を買い、後継者に就任したとしても面従腹背のパンチをくらうことになる。「後継者選びは、経営トップにとって最大の仕事」と言われる所以である。

創業者は、後継者候補として育てるにはリーダーとしての経験を積ませなくてはならない、と考える。しかし、全権はなかなか渡さない。創業者は会長、CEOになり、松下幸之助氏の名言である「任せて、任せず」という姿勢を崩さないのだ。「院政」と批判されがちな企業統治である。だが、このトップマネジメントは必ずしも悪いとは限らない。

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