ジャニーズ・BM問題で浮上「同族経営」は悪なのか 実は日本企業の9割はファミリービジネスだ

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その後、柳井氏の一人舞台が続いたが、ついに8月28日、傘下のカジュアル衣料品店「ユニクロ」の社長に、塚越大介取締役(44)を9月1日付で昇格させる人事を発表した。集団指導体制への布石としているが、柳井氏は手綱を緩めないだろう。

柳井氏の社長更迭がかわいいものに見えるのが、ニデック(旧・日本電産)の創業者、永守重信会長兼CEO(78)によるトップ人事である。外部からスカウトしてきては更迭するパターンを繰り返してきた。

2022年6月には関潤社長兼CEO(元・日産自動車副社長)をCOO(最高執行責任者)に降格させ、永守氏がCEOに返り咲いた。その後、関氏は退職し、2023年2月から鴻海精密工業グループの電気自動車(EV)事業の最高戦略責任者(CSO)へ転じた。隣の芝生は青く見えたと反省し、後継者は内部から選ぶと宣言。永守氏は、創業者は死ぬまで創業者と確信している。

「カリスマ経営者」の資質

両社はファミリービジネスとは言えない上場企業だが、柳井氏、永守氏はともにカリスマ創業者で、所有と経営の両方を握っていることから、絶大な権力を行使できる。

権力は最高位に立てば、それなりに持てる。しかし、カリスマと見られるほどの権威を感じてもらうには、常人では簡単には成し得ない奇跡的伝説が備わっていることが絶対条件である。

一代で急成長させ大きな企業に育てた創業者は、常人では成し得ない実績自体は誰もが認めるところだろう。創業家出身者も創業者の遺伝子を受け継ぎ、実践しているような人であれば、「我々は努力してもなれるものではない」と納得性が高まる。

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