「大NTT」復活も?法改正で浮上する再編シナリオ 政府・自民党は前のめりだが競合は警戒ムード

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1985年の民営化に際して制定されたNTT法は、NTTが果たすべき責務とともに、同社への規制を定めている。旧・日本電信電話公社(電電公社)から引き継いだ巨大なネットワーク設備を持つ「強いNTT」を弱くし、健全な競争環境を整備するためだ。

NTTグループの組織図とNTT法の対象範囲

対象とするのは、持ち株会社のNTTと、その100%子会社であるNTT東日本、NTT西日本の3社。一例を挙げると、固定電話サービスの過疎地も含めた全国展開、研究開発成果の対外的な開示、3社の事業計画の策定・変更における総務大臣の許認可の取得、外国人の持ち株役員への就任禁止などを規定している。

これらの責務や規制について、通信業界では「固定電話時代の遺物。遅かれ早かれ見直す必要性があった」(総務省関係者)との声が聞かれる。

国内の固定電話回線市場では6割を超すシェアを握るNTTだが、今やキャリアの主戦場は移動通信(モバイル)。さらに言えば、通信を使って利用する独自サービスなどの非通信領域へと広がりを見せている。

にもかかわらず、NTTグループのみが数十年前に作られた責務や規制によって足を縛られた状況では、新たな領域で競争力を十分に発揮できない。こうした事情が、冒頭の甘利氏の発言につながってくる。

グループのさらなる再編が現実味?

責務や規制が撤廃されれば、当然NTTにとっては利点が多い。

例えば研究成果の対外的な開示だ。NTT法の定めの下、NTTでは年1回開催される「R&Dフォーラム」や、企業からの個別の問い合わせへの回答などによって、研究成果を開示しているという。

だがNTTは目下、2030年頃に商用化が見込まれる次世代通信規格「6G」において世界の標準規格を獲得しようと、光技術を使った通信基盤「IOWN構想」を提唱している。これらの技術開発に注力する中、研究成果の開示は技術流出を招きかねないという懸念がかねてあった。

さらに規制緩和で身動きが取りやすくなることによって現実味を帯びるのが、グループの再編だ。

現状、NTTおよびNTT東西の社名変更を伴うような再編をする場合には、NTT法の改正が必要になる。NTT法に3社の社名や事業範囲が記載されているためで、「それら3社を含めた再編はハードルが高いと考えられていた」(NTT幹部)。

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