「大NTT」復活も?法改正で浮上する再編シナリオ 政府・自民党は前のめりだが競合は警戒ムード
しかしNTT法改正の方向性次第では、こうした制約もなくなる。
折しもNTTでは、澤田純・現会長が社長に在任していた2018~2022年の4年間、海外勢との対抗などを掲げてグループ再編を推し進めてきた。NTTドコモの完全子会社化や、NTTリミテッド(NTT傘下にあった海外事業を展開する会社)をNTTデータ傘下に移管するなど、さまざまな再編に着手したものの、持ち株会社のNTTとNTT東西には手をつけていない。
8月9日の決算会見の場で、今後のグループ再編の可能性について問われたNTTの島田明社長は、「NTT東西が1つになるほうが経営が効率化され、公共の福祉にプラスになるかどうか。今後の議論次第だ」と語り、東西の合併の可能性にも含みを持たせた。
今のNTTグループの原型が作られたのは1999年。1985年の電電公社民営化で誕生した日本電信電話株式会社(NTT)が、持ち株会社のNTT、NTT東日本、NTT西日本、NTTコミュニケーションズ(コム)の4社に分割された(NTTドコモとNTTデータはそれ以前に分社化)。
地域通信事業を東西の2社に分けたのには、市場支配力を弱めるなどの狙いがあったが、現状東西が分かれていることに合理性があるのかは疑問符がつく。固定電話や光回線をそれぞれ手がけている両社が合併すれば、機器調達などのスケールメリットが働く。新規事業開発に関わるリソースなども集約できるだろう。
法人事業を取り巻く再編も焦点
さらに通信業界関係者らが注視するのが、法人事業を取り巻く再編の可能性だ。グループの主要会社では、NTT東西、NTTドコモと2022年にドコモ子会社となったNTTコム、そしてNTTデータが法人向けの事業を手がけている。
通信回線を軸としたサービス提供や、SI(システム・インテグレーター)など、それぞれ事業内容は異なるが、顧客基盤の一体化や商材のクロスセルを進められれば、業績拡大に一役買いそうだ。NTT法が定める総務省の認可などが不要となれば、こうした大規模な再編もしやすくなる。
あるNTT幹部は「世界で戦うには、1999年の分割前の体制に戻ってグループの総力を結集させたほうがいい」と強調する。NTT首脳陣の意見が一枚岩とは言い切れないものの、澤田体制以来、グループは“結集”の方向で再編を繰り返してきた。そうした動きをさらに推進しようとする考えを持つ幹部は少なくない。
NTTを利する形での法改正に向けた動きが加速する状況に対し、競合キャリアからは冒頭の楽天の三木谷氏のように警戒する声も上がる。ソフトバンクの宮川潤一社長は「公正競争という観点でNTTの在り方がこれまで整理されてきた。なし崩し的にNTTの規制だけが緩和されることにならないよう、議論を注視していきたい」と述べた。
自民党と政府は今後、有識者やNTTを含めたキャリア事業者らのヒアリングを踏まえて、法改正の方向性を固めていく。その審議の行方が、今後の通信業界の競争環境に大きな影響を与えることは間違いないだろう。
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