また、人・モノの往来にも力を入れ、1981年に開港した24時間稼働のチャンギ国際空港は、東南アジアのハブ空港としての役割を担っている。すでに東南アジア随一の規模を誇るが、現在でも空港拡張工事が進められている(2025年完成予定)。
シンガポール島という限られた国土において、公共交通を中心としたコンパクトで合理的な町づくりを行い、都市ブランドとしてのシンガポールを確立した。また、ICT(Information and Communication Technology=情報通信技術)環境や通信ネットワークの整備も進んでいる。
さらに、英語やアジア圏で使用される複数の言語が普及していることから、世界的な多国籍企業の支社・支店が集積するようになり、国際的な金融市場としての地位が高まってきている。
また、海外からの観光客の誘致にも積極的であることも広く知られている。このように経済発展目覚ましいシンガポールは、2020年の1人当たりGNI(国民総所得)が5万5010ドルとなっており、これは世界最高水準である。
自然災害リスクが低いと経済が発展
周辺諸国に比べて自然災害のリスクが格段に低いことは、さまざまなメリットを生んでいる。
たとえば、建築物の耐震基準は日本に比べて低く、その分、建築コストも抑えられる。また、自然災害対策の予算を低くし、その分、経済発展のために多くの予算を配分することも可能となる。これらも、現在のシンガポールの繁栄につながっているといえるだろう。
また、シンガポールは「データセンターの集積地」として注目されている。アジア圏では北京に次いで2位の施設規模を誇る。
データセンターとは、サーバーやネットワーク機器などの装置を多数設置する施設であり、センター内は高度なセキュリティで保護されている。テレワークの広がりや、デジタルトランスフォーメーション(DX)の進展で、急速に需要が伸びてきている。
なぜ、シンガポールにデータセンターの立地が増加しているかというと、これも自然災害が少ないからである。機器の損壊やサーバーへのダメージのリスクを最小限にとどめることができる。もちろん、シンガポールがアジア圏における金融の中核を担っていることも理由としてある。
一方で、データセンターの急増は、電力の大幅な需要増をもたらすこととなり、電力需給に大きな負荷を掛けている。実際にシンガポールでは、一時的にデータセンターの増築停止という対応も取られている。
シンガポールは、アジアの東西を結ぶ中継貿易の拠点として発達し、経済発展をみた。現在ではデータセンターが立地することで、情報の「中継貿易」の拠点として、さらなる発展が望まれるといえるだろう。
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