会社で起きることのすべての責任をとるという徹底した当事者意識を学んだ--西本甲介・メイテック社長(第5回)

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 私はメイテックで勤め上げようとは思っていなかったので、ポジションを守ろうとする気もなく、ある種開き直りのような形で関口さんと付き合っていました。真正面からぶつかっていったところが気に入られ、信頼されたのでしょうか。

「メイテックという会社を俺がどうしたいかをいちばんわかってくれる男」と思われていたかもしれません。

--関口さんが解任されるに至った経緯をお聞かせください。

91年、バブル崩壊で6000人いた社員を3500人に縮小しました。血を流して生き残り、ようやく利益が出てきた頃、関口さんは会社の資金で競走馬事業をやりたいと言い出したんです。

未上場であれば競走馬事業だろうと何だろうとやればいいのですが、すでに上場企業でしたから。このままでは社員やお客様はもちろん、300億円の借金をしていた銀行や、株主からも絶対に見放されると思いました。

私は他の役員たちに辞職を申し出たのですが、「お前が辞めて関口さんが考え直したとしても一時だ。お前が身を挺して辞めるのは無駄になる。関口さんのことを思うなら会社の今後についてちゃんと考えてくれ」と言われました。

今も冷静に振り返ることができませんが、ギリギリの決断で解任という結論に至ったんです。やらざるをえない状況でないと、解任なんてドラスチックなことはできません。

天の時、地の利、人の和という言葉がありますが、あのときのあのタイミングでなければ関口さんという創業者は解任できなかったと思います。

明確な設計図はありませんでしたが、社員はわかってくれるのではという思いがありました。皆様にわかっていただけたからこそ今日があります。

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