「出世が第一!」その思考回路が成長を妨げる カネも時間も無駄にしないための3つの問い

✎ 1 ✎ 2 ✎ 3 ✎ 4 ✎ 5
著者フォロー
ブックマーク

記事をマイページに保存
できます。
無料会員登録はこちら
はこちら

印刷ページの表示はログインが必要です。

無料会員登録はこちら

はこちら

縮小

当たり前ですが、自分の能力を正確に把握できないかぎり、どういった能力を優先的に獲得する必要があるのか、またどのように獲得すればよいのかも判断がつきません。

さらに先の項目で見たように、やりたいことに必要な能力が把握できていなければ、結果、総花的に何となくビジネス書を読む、資格の勉強に走るといったように、必要ではない能力開発に時間をかけてしまうことにもなりかねません。これは、非常に非効率だと言わざるをえないでしょう。

まずは一定の危機感を持って、社外に目を向け、自分自身の市場における価値を考えてみてはいかがでしょうか。

パターン3:能力開発は何となくふわっと

最後のパターンは、そもそも自分の置かれている環境を直視できていないというものです。このパターンの人は、自分のやりたいことはだいたいイメージできているし、自分の能力についても把握できているのですが、ただ何となくふわっと、そこそこの能力開発をしながら毎日を過ごしています。つまり真剣な一歩を踏み出せないのです。

なぜでしょうか? その理由は、ほとんどの場合、たとえばパートナーや子供といった自分がコントロールできない要素の存在に配慮するあまり、自分のことを中心に考え、その状況と向き合うことになるのが怖いからです。ダイレクトに言えば、考えることから逃げているのです。

人間は基本的に、弱い生き物です。つらい出来事があると本能的に逃げたくなるのもよくわかりますが、限られた人生、後悔したときにはもう手遅れです。逃げている自分に気がついたら、勇気を持って、何が自分を止めているのか、一度じっくりと向き合ってはいかがでしょうか。逃げ続ければ、いつか後悔するということになりますが、じっくりと考えたうえで自分で選択をしていれば、後悔することはないはずです。

以上、3つのパターンを見てきましたが、結局は「自分を知っている人」が最も強いということです。何のための能力開発、そして成長なのか。それは、究極的には、自分の歩みたい人生を歩むためのはずです。まずは自分のありたい姿を明確にすることからすべてが始まります。

そのためには、自分がどのような価値観を持ち、どのような価値を社会に提供したいと思っているのか、それにはどのような能力が必要なのかといったことと丁寧に向き合いましょう。振り返りの習慣を持ち、自分と対話し続けること。これができるかどうかが、成長の「スピードと質」の差につながるのです。

村尾 佳子 グロービス経営大学院 経営研究科 副研究科長

著者をフォローすると、最新記事をメールでお知らせします。右上のボタンからフォローください。

むらお けいこ / Keiko Murai

大手旅行会社、総合人材サービス会社を経て、現在、グロービス経営大学院経営研究科副研究科長。事業戦略、マーケティング戦略立案全般、そして大阪校、名古屋校のマネジメントに携わるかたわら、マーケティングや「志」領域の教鞭を執る。また社外取締役や理事として関与しながら、ベンチャー企業やNPOの育成にも携わる。
関西学院大学社会学部卒業、大阪市立大学大学院創造都市研究科都市政策修士。グロービス・オリジナル・MBAプログラム(GDBA)修了。共著に『グロービス流 キャリアをつくる技術と戦略』(東洋経済新報社)、『志を育てる』(東洋経済新報社)、『東北発10人の新リーダー』(河北新報出版センター)。

この著者の記事一覧はこちら
ブックマーク

記事をマイページに保存
できます。
無料会員登録はこちら
はこちら

印刷ページの表示はログインが必要です。

無料会員登録はこちら

はこちら

関連記事
トピックボードAD
キャリア・教育の人気記事