生成AIへの投資でしのぎを削るテック企業の思惑 最新テクノロジーで変わる2030年の世界を大予測
ちなみに、日本がクラウドコンピューターで追いつけないので、量子コンピューターで勝とうという単純化された方針は熟考する必要があります。量子コンピューターと実際に使われる課題での相性がわかっていないからです。
これまでのAIは、プログラミングスキルが乏しい人が利用した場合、本来実現できる機能の10分の1以下しか使えていないといえるでしょう。その壁を、生成AIは取っ払いつつあるのです。
英語に限らず日本語でも対応しますし、言葉が多少足らなくても、それなりの答えが返ってくる。話し言葉、書き言葉どちらでも問題ありません。
逆に、「小学生にもわかる内容で100文字に要約して」など、具体的な指示を出せば、それこそ的確に、きちっと100文字でわかりやすい内容を答えてくれます。
アプリなどをダウンロードすることなく、スマホやパソコンのWebブラウザの入力窓に、テキストを書き込めばいい。利用開始に関しても、グーグルアカウントなどを持っている人はすぐに利用できる。このような消費者が使いやすい仕組みも、ここまで利用者が広まった理由の一つだと言えるでしょう。
ビッグ・テックも注目 ビジネスとも相性のよい生成AI
ユーザー数の増加に伴い、ビジネスや投資の対象としてもヒートアップしています。
そもそもオープンAIは、テスラやスペースXの創業者であるイーロン・マスク氏らが、非営利目的の組織として、2015年に設立したのが始まりです。
ところがマイクロソフトと手を組むようになり、2019年には10億ドルもの出資を受けるなどして、一気に開発スピードが高まります。当初とは少し違った方向性になったことを受けて、イーロン・マスク氏はオープンAI社と距離を取り始めますが、その後も同社は順調に成長を続けています。
一方で、Transformerを論文として発表したのは、グーグルとトロント大学の研究者だと先述しました。グーグルはご存じのように、検索サービスなどにより日々膨大なデータを活用していますから、AIの領域で活用できる分野が多い。Facebookを運営するメタも同様です。
対してマイクロソフトは、ビジネスソフトやサービスがビジネスの主軸ですから、Azureというクラウドを持っているとはいえ、彼らと比べるとAIに使える形のデータが比較的少なく、AI開発も弱かった。そこでオープンAIに目をつけたわけです。
もともと持っている強みである、マイクロソフト系のアプリケーションやサービスにAIを組み合わせることでシナジーを発揮し、他社より有利に立てるだろう。おそらく、そう考えたのでしょう。
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