生成AIへの投資でしのぎを削るテック企業の思惑 最新テクノロジーで変わる2030年の世界を大予測

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PowerPointでも同様です。プレゼンしたい内容のテキスト、使いたい画像などを投げれば、最適なテーマの設定なども含め、パワポ資料を生成してくれます。たとえば、家族の結婚式や、学校の卒業式で流すアニメーションなどで活用できるでしょう。

スライド枚数、使用したい画像などは、こちらで指定することができます。指定したフォルダやクラウドから、AIに選んでもらうことも可能です。

テキストのボリューム、トーン、音楽なども、テキストで指示を出すだけですぐに生成してくれ、気に入らなかった点を再びチャットする。そのキャッチボールを繰り返せば、望むアニメーションが短時間で制作できるようです。

ようです、と書いたのは本書を執筆している時点では、あくまでサービスの概要を発表した段階で、実際の利用時期や価格などについてはこれからだからです。

ただ言えることは、一刻も早く生成AIに関するサービスを打ち出し、多くのユーザーをマイクロソフトのサービスに囲い込みたい。このような意図は明確に伝わってきます。特に、将来のウィンドウズにも搭載されるということは、読者が使っているウィンドウズの情報を最大限活用した、補助機能が搭載される可能性が高いということです。

一方、すでに生成AIの機能が実装された例もあります。マイクロソフトが提供する検索サービス「Bing」です。同検索サービスにGPT-4が搭載され、すでに利用が可能です。

行き先、滞在日数をテキストで入力するだけで、世界各国の著名な観光スポットの案内をしてくれる。「GPT Travel Advisor」なるサービスも生まれています。

このように、爆発的な広まりを見せる生成AIにより、実際に社会やビジネスがどう変わっていくのか。ここからはより具体的な事例を紹介していきます。中でも私が特に注目しているのが、エンタメ業界です。

生成AIは絵本作家や漫画家の競合なのか

まずは、画像関連です。絵本や漫画といった、これまでは漫画家やイラストレーターといったプロの方々が創作していたコンテンツを、生成AIが創作するようになるでしょう。

すでに、関連サービスも多く登場しています。東京にある3DCGマンガ制作会社マンガチューバースタジオでは、生成AIを漫画制作時のツールとして活用。あくまで一部ということですが、国内としては初となる、生成AIにおけるオリジナルの『のほほキッチン』という作品を制作し、公開しています。

同作品で使われたのは、アメリカの研究所によって開発された「Midjourney」という生成AIです。テキストを入力することで画像、漫画のコマを生み出します。

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