生成AIへの投資でしのぎを削るテック企業の思惑 最新テクノロジーで変わる2030年の世界を大予測
Midjourneyを使った作品では、『サイバーパンク桃太郎』というSFコミックが、2023年の3月に新潮社から発売されており、アマゾンでのレビューもまずまずです。
Stable Diffusionを使った作品では、イラストレーターのあぶぶさんという方が、『暗い沼地の姫君』という絵本を発表しています。同作は、生成AIが生成したおよそ300枚の画像から30枚に絞り、ストーリー性を持たせ、セリフを加えるなど構成したもので、制作日数はおよそ5日とのこと。「絵本として成立している」など、読んだ人からは高い評価を得ています。
制作方法は、生成AIらしくシンプルです。参考となる画像を学ばせたり、表現したいストーリーをテキストで入力していくだけ。そうして出てきたストーリーや画像を、ユーザーが整えていく。この作業を繰り返すことで、質の高い作品となっていきます。
クリエイター界の未来を巨視するアドビ
今後、プロの漫画家や絵本作家が利用することを踏まえ、PhotoshopやIllustratorといったクリエイター御用達のプロツールを開発・提供しているアドビも、同様のサービスを展開しています。2023年の3月に発表された、「Adobe Firefly」です。
Adobe Fireflyは、先に登場した画像生成AIと同様、テキストを入力することで画像を生成するのはもちろん、タイトルなどに使用されるテキストエフェクトと呼ばれる、装飾文字の生成を行います。
クリエイターの腕の見せ所でもあった、色のトーンの調整や画像の縮小・拡張なども行ってくれます。なお同社は、さまざまなデジタルツールのAI基盤であるAdobe Senseiも提供しています。
おそらくは今後も、Adobe SenseiがアドビのAIプラットフォームとなり、アドビが提供するさまざまなツールに、生成AIの機能を実装していくことでしょう。マイクロソフトが自社製品に、生成AIの機能を付帯していくのと同じ流れです。
アドビが生成AIのビジネスに着手した当初、私はマイクロソフトがオープンAIに投資したように、他の生成AIのベンチャーと協業する、あるいは買収するような動きを見せると予測していました。
しかし、彼らは違いました。今後、生成AIのマーケットが拡大すると予想しているのでしょう。自社で内製し、自社の技術として育てていく道を一旦選択しました。アドビは以前からいち早くSaaS、サブスクの事業形態に着手するなど、未来を予測する力を持つ企業ですから、今後の動向にも注目しています。
Maslej, N., Fattorini, L., Brynjolfsson, E., Etchemendy, J., Ligett,
K., Lyons, T., Manyika, J., Ngo, H., Niebles, J. C., Parli, V.,
Shoham, Y., Wald, R., Clark, J., & Perrault, R.(2023). The AI
Index 2023 Annual Report, AI Index Steering Committee, Institute
for Human-Centered AI, Stanford University, 2-19.
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