「ChatGPTの生みの親」爆発的人気に透ける葛藤 毀誉褒貶のオープンAIだが、拡大は止まらない
ChatGPTの登場で一躍有名になったのが、人工知能(AI)の研究開発を行う米オープンAIだ。
社会を大変革する技術を生み出した同社だが、足元ではその潜在的リスクの大きさや、データ収集の違法性をめぐって批判にさらされてもいる。いったい、どんな素性の企業なのか。
当初は家庭用ロボット向けの開発も
オープンAIは、2015年に非営利法人として設立された。共同議長に就いたのは、現在CEOを務めるサム・アルトマンと、米テスラなどのCEOとして知られるイーロン・マスクだ。
今でこそ大規模言語モデル(LLM)の開発で知られる同社だが、設立翌年に発表された「テクニカルゴールズ」を見ると、それに特化していたわけではない。
ゴールとして定めたのが、家庭用ロボット向けのアルゴリズム導入、自然言語を理解するAIの構築、単一AIでのさまざまなゲーム解決など。
設立当初はとくに、ゲーム解決に必要な「強化学習」のための製品を複数出していた。強化学習とは、与えられた条件下で最大限の結果が出るようにAIの行動を最適化させる手法のこと。
例えば、2016年に発表された「OpenAI Gym」は、ユーザーが開発したAIが強化学習するのを支援するツールだ。2018年には、強化学習をさせたオンライン対戦ゲーム『Dota 2』のAIシステムを発表し、翌年には人間の世界王者に勝利している。
当時のオープンAIを知るゲーム開発者は「多くのゲーム会社が、同社のツールを導入してソフトに搭載するAIの開発をしていた。言語モデルの開発をメインにしている印象はなかった」と振り返る。
ただ実際は、並行して言語モデルの開発も進めていた。2018年には、言語モデルの初代となるGPTを発表。翌2019年にはGPT-2、2020年にはGPT-3と、モデルの表現力や性能を更新していった。今年3月には、大方の予想よりも早くGPT-4を発表し、その飛躍的な性能向上を見せつけた。
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