「子供部屋を作りたい」ゴミに苦しむ母の切実願望 小学2年生の息子と住むシングルマザーの生活

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くわえて、亡くなった夫の私物が頭を悩ませた。趣味のレコードや草野球をするときにかぶっていた帽子が出てきたが、さすがにそれは捨てられなかった。よく聞くのは、「思い出まで捨てるわけではない」というセリフだ。ありがちな意見なだけに、それで悩みが解決するとは思えないが……。

片付けをしているときに出てくる夫の遺品の数々(写真:「イーブイ片付けチャンネル」より)

「職場の送別会でもらったプレゼントなど、誰かにもらったモノを売ったり捨てたりするのって、その行為自体が後ろめたいんだと思うんです。子どもの工作とかは実用性はないですけど思い出の品なので捨てづらいですよね。そのときに、“思い出まで捨てるわけじゃない”という言葉を第三者が言ってあげることが大事かなと。それなら罪悪感が薄れると思うんです」

「友だちを呼ぶのが楽しみ」

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娘から父の日にプレゼントされた鞄を使い続け、みすぼらしいほどにボロボロになってしまったとしよう。会社で使うことはもうできなさそうだが、捨てるのはなんだか気が引ける。だが、娘本人に「もうボロボロだから捨てていいよ」と言われたら、肩の荷が下りるはずだ。

「片付けってこんなに楽しいんや。心機一転、今日から引っ越してきたみたいな感じです。息子も喜びます。こんなん1人でやっていたら2カ月くらいかかる」

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片付けが終わった部屋(写真:「イーブイ片付けチャンネル」より)

片付けを終えてだいぶスッキリした部屋を見て、依頼者の女性は子どものようにはしゃいでいた。自分の部屋がもらえた小学2年生の息子も、「友だちを呼ぶのが楽しみ」とスタッフに話していた。

國友 公司 ルポライター

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くにとも こうじ / Kozi Kunitomo

1992年生まれ。筑波大学芸術専門学群在学中よりライターとして活動。訳アリな人々との現地での交流を綴った著書『ルポ西成 七十八日間ドヤ街生活』(彩図社)が文庫版も合わせて6万部を超えるロングセラーに。そのほかの著書に『ルポ路上生活』(KADOKAWA)、『ルポ歌舞伎町』(彩図社)がある。

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