「動物と人間が電気柵で共存」サバンナ生活の過酷 南アフリカにみる環境破壊と雇用創出のリアル
100年前はアフリカ大陸に20万頭いたとされるライオンは、現在およそ2万頭まで激減し、26カ国ですでに絶滅してしまいました。かつて10万頭以上いたとされるチーターも、過去40年間で13カ国から姿を消し、その数は、現在7000頭前後まで減ってしまいました。
一方で、アフリカの人口は世界トップクラスの勢いで増え続けています。野生動物が暮らす保護区と人間が暮らすエリアの境界は徐々に狭まり、開発の手は保護区の中にまで伸びてきています。
広大な自然や野生動物の生息環境を守りたいと思った時に、人間の生活と切り離して考えることはもはやできません。サファリガイドとして働き始めた当初は、ここまで人間が介入していいのだろうか、と悩み戸惑うことの連続でした。
私が現地で暮らしていて、中でも最大の課題だと感じているのは「生息地の減少」です。これは数多くの動物に共通している問題です。数十年後、数百年後まで豊かな生態系を守るには、どうしたらいいのか、人間と野生動物の関係性に触れながら、一緒にサバンナの未来について考えていきましょう。
人と野生動物が隣り合わせで生きる場所
サバンナでは、以前は野生動物が生息するエリアと、人間が暮らすエリアの間にはいわゆる「緩衝地帯」があり、ある程度の距離が保たれていました。しかし、現在はそういったエリアもどんどん開発が進んでおり、人と野生動物が隣り合わせで生活をしています。
私が暮らしているクルーガーエリアも、保護区のすぐ近くに村、牧草地や農耕地、大規模農園(プランテーション)、鉱物資源の開発エリアなどが広がっています。特に、私が住むサバンナの周りでは、オレンジやグレープフルーツなど柑橘類の大規模農業が盛んで、農業エリアはどんどん拡大してきています。
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