「動物と人間が電気柵で共存」サバンナ生活の過酷 南アフリカにみる環境破壊と雇用創出のリアル
このフクムリ射殺の件が明るみに出ると、フクムリのファンだった人たちは、「ヒョウを殺すなんてありえない!」「村の人たちの方がいなくなるべきだ!」などと非難し、過激なコメントがネット上を飛び交いました。
私はこの事件の直後、被害にあった村を実際に訪問しました。トイレもないような貧しい家が並ぶエリアで、フクムリに家畜を食べられてしまった家の庭には木の枝で作られた小さな囲いがあり、その中にヤギが数頭入っていました。
私が訪ねた時はちょうど、この家のおじいちゃんが番犬を連れてハイエナ退治のパトロールから帰ってきた時でした。おじいちゃん曰く、フクムリによる被害だけではなく、毎週のようにハイエナが村の家畜を食べに来るとのことでした。
地域住民にも保護活動の輪に
今回はたまたま有名なヒョウが射殺されたため、これほど話題になりましたが、ここに住んでいる住民たちは日々こういった危機にさらされながらも、自分たちの貴重な財産を守り、一日一日を生きていくために必死に生活しているのです。
クルーガーエリアには保護区と地域コミュニティでうまく連携が取れているところもたくさんあります。しかし、すべてのエリアでこうした連携が取れているわけではなかったのです。そのため、保護区と地域コミュニティ間の軋轢だけではなく、地域コミュニティの間でも不平等が生まれてしまい、彼らの関係の悪化にまでつながってしまうことがあります。
だからこそ、その地域で暮らす人々の暮らしを尊重しつつ、同時に地域住民にも保護活動の輪に参加してもらう方法を模索し続けなければなりません。私が活動している保護区では、住民に無償で観光業(サファリ業)に従事できるようなトレーニングや教育機会を提供し、その地域から優先的にスタッフを雇っています。また、地域コミュニティ側でも獣害対策が整っており、コミュニティとの良好な関係が築かれています。
記事をマイページに保存
できます。
無料会員登録はこちら
ログインはこちら
印刷ページの表示はログインが必要です。
無料会員登録はこちら
ログインはこちら
無料会員登録はこちら
ログインはこちら