東芝の米国案件が頓挫、崩れゆく原発輸出ビジネス

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コスト優位性も低下 水泡に帰す原発輸出

影響は東芝だけにとどまらない。日本が官民一丸となって取り組んできた原発輸出も暗礁に乗り上げた。

米国は原発建設の最大市場。そもそも世界で原発新設計画が相次いだのは、1979年のスリーマイル島事故以来、原発建設を凍結していた米国が推進へと舵を切ったからだ。

ただし、近年は変調の兆しが見えていた。リーマンショックや財政危機に加え、シェールガスと呼ばれる安価な天然ガスの大増産によって原発のコスト優位性が低下。多数の計画が存在しながら、まるで融資がつかない状態になっていたのだ。STP原発の場合、東電が米政府の債務保証を前提に、最大2・5億ドル(約200億円)を出資する予定だったが、もはや実現は難しい。

日本は10年、国際原子力開発という国策会社を作り、東電元副社長をトップに据えて海外受注獲得にアクセルを踏んだ。原発建設と電力会社の運営ノウハウをセットで提供し、受注を加速するスキームだったが、それも崩壊したと見てよい。

もちろん新興国を中心とした電力需要の拡大に、原発なしでは対応できないとの見方はある。が、海外受注については以前から「韓国やロシアとのダンピング競争がきつく、受注すべきものなのか」(大手重電関係者)といった疑問が出ていた。福島の事故後は、インドで反原発の暴動が発生。日本の原発への信頼性も含め、強烈な逆風は避けられない。

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(長谷川高宏 =週刊東洋経済2011年5月14日号)

※記事は週刊東洋経済執筆時の情報に基づいており、現在では異なる場合があります。
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