「銀座アスター」はなぜ100年も愛され続けてきたのか? "食のエルメス"を目指す老舗の秘密

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銀座アスター本店
東京・銀座1丁目にある銀座アスターの本店(撮影:尾形文繁)

デパ地下を歩いていて、この店の赤い看板を目にしたことがある人は多いのではないだろうか。中華まんじゅうやシュウマイなど、多数の点心を取り扱っている中国料理店「銀座アスター」だ。

来年で創業100年を迎える同店は、デパ地下だけでなく、東京・銀座を中心にレストランも展開。フカヒレの煮込みや北京ダックなどの本格的な高級中国料理を提供している。

昭和初期に創業した「銀座アスター」はなぜ、戦火をくぐり抜けて今日まで繁盛店であり続けてきたのか。3代目社長・矢谷郁氏の証言をもとに、1世紀にわたる人気の秘密に迫っていきたい。

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「もったいない」から誕生した1号店

「銀座アスター」の創業は昭和元(1926)年の12月。現在、銀座1丁目にある銀座本店のその場所で、産声を上げた。郁氏の祖父にあたる創設者・矢谷彦七氏が、銀座のこの土地を手に入れたのがきっかけだった。

何か事業をしなければもったいない――。リサーチをしてみると、近隣には中国料理店がなく、横浜中華街まで行かなければ食べられないという状況だった。それなら勝機はあるかもしれないと、中国料理店を選択した。

皆が不思議に思うのが、銀座アスターというその名前だろう。「アスター」とはどういう意味なのかを尋ねると、郁氏いわく、「当時、上海にアスター・ハウス・ホテルという、すばらしく先進的なホテルがあり、その名にちなんだんです」とのこと。今思えば、随分とシャレているではないか。

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