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ミネベアの職人が生む人型ロボット用センサー、「指先の感覚」を再現する、3グラムの世界最小品

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6軸力覚センサーを見つめる永渡さん(記者撮影)
会社を動かすのは現場のビジネスパーソンだ。人気商品やサービスが生まれた背景、新たな挑戦の狙いとは。本連載では、その仕掛け人を直撃する。 

「赤ちゃんの指ぐらいのセンサーがほしい」

電子部品などを手がけるミツミ電機(現ミネベアミツミ)は2015年ごろ、そんな依頼を顧客の某日系メーカーから受けた。工場の自動化を進めるうえで、物体に作用する力を測る「6軸力覚センサー」の小型化を求められたのだ。

このセンサーは人間の手の動きを再現するのに不可欠で、ロボットハンドの関節などに組み込まれる。ただ、当時の主流は大人の手のひら程度のサイズ。「無茶ぶり」とも取れる要求に応え、現在は9ミリ×9.6ミリ、重さ3グラムの世界最小品が量産されている。

次なる「産業革命」の主役と目される、ヒューマノイドロボットへの採用増も見込む。開発チームを率いた技術開発部門の永渡実課長(51歳)は、「製造業の生産性を高め、より豊かな社会の実現に貢献してほしい」と期待する。

指の繊細な感覚を再現

クレーンゲームの爪先に長方形の金属板を取り付けたような装置が、固いブロックと柔らかいスポンジを交互につまんでいく――。東京・汐留にあるミネベアミツミのショールームでは、そんなデモを見学できる。

一見するとわかりにくいが、裏側では複雑なプロセスを踏む。内蔵された6軸力覚センサーが対象物から受ける力を検知。それを基に、どれぐらいの強さで挟むべきかを計算し、実際に持ち上げているのだ。

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