森喜朗氏が「仕切り役」、安倍派・新体制移行の混乱 「五人衆」主導も後継争いで分裂加速も

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塩谷立・元文部科学相が「座長」となった(写真:時事)

自民党の最大派閥・安倍派(清和政策研究会、100人)が会長空席のまま、新たに会長代理の塩谷立氏を「座長」とし、萩生田光一政調会長ら党・内閣の要職を占めるいわゆる「五人衆」を中心とする集団指導体制に移行する方針を決めたことが、自民党内に波紋を広げている。

同派内には「五人衆」主導の新体制に反発する声もあり、今後の展開次第では分裂含みの状況がさらに深刻化するとの見方もあるからだ。しかも、会長が決まらない状態が今後も続くことで、同派の党内影響力の低下は避けられず、結果的に9月中旬にも想定される党・内閣人事で冷遇されれば、派内の対立・混乱も拡大しかねない状況だ。

今回の新体制移行には、9月の党・内閣人事に向け、派の結束ぶりを示して岸田文雄首相に“圧力”をかける思惑もある。ただ、「仕切り役は首相と連携している森喜朗元首相」との指摘も多く、最大派閥の会長不在継続は、今後の自民党内の権力争いでの波乱要因になる可能性が大きい。

塩谷氏を支える「常任幹事会」を新設

昨年7月の安倍晋三元首相の突然の非業の死以来、後継会長選びで揺れ続けてきた安倍派は、お盆明けの8月17日に党本部で開いた総会で、引き続き会長は空席とし、会長代理の塩谷立・元文部科学相を「座長」とする新体制移行を了承した。

新体制は、トップの塩谷氏を支える「常任幹事会」を新設し、集団指導体制で派閥を運営する形となる方向だ。塩谷氏は選任を一任された幹事会メンバーについて、月末にも決定・公表する意向で、具体的には萩生田氏、西村康稔経済産業相、松野博一官房長官らの「五人衆」を中心に、閣僚経験者で構成する案が有力だ。

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