オープンハウス、「暴力団に関与」同業買収の背景 ライバル企業やアクティビストも狙っていた

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三栄建設が設置した第三者委員会による報告書では、小池氏と暴力団員とは複数の取引があったが、元社長とそのほか3人の元従業員を除き、「暴力団員と直接関わりを持った人はいなかった」とされる。

「小池さんと、ほかの3人が反社会的勢力との付き合いがあったが、4人ともすでに会社を辞めている。小池さんや、彼のファミリーが所有していた同社株式もすべて買い取るため、小池さんの影響力を排除することができる。これらにより(暴力団員との関係が)クリアになる」(オープンハウスのIR担当者)としている。

オープンハウスの戸建ては「地味なデザインが多い」(業界関係者)と指摘されることもあり、デザイン力の高い三栄建築の戸建てがラインナップとして加わる意味は大きい。また資材調達などの面で「スケールメリットが発現する」(IR担当者)。こういった相乗効果を期待して、オープンハウスは買収に踏み切った。

買収成立まで一波乱の可能性も

ただ、TOBがすんなりと成立する保証はない。三栄建築を1代で売上高1300億円をたたき出す企業に育てた小池氏だが、「おぼっちゃま気質で、Jリーグチームのスポンサーになるなどいろんなところに首をつっこみたがる」(ハウスビルダーの幹部)と言われる。

この小池氏については、「オープンハウスへの株式譲渡には、本音ではいまも納得していない」(別の業界関係者)との見方もある。買収成立まで、一波乱あるかもしれない。

梅咲 恵司 東洋経済 記者

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うめさき けいじ / Keiji Umesaki

ゼネコン・建設業界を担当。過去に小売り、不動産、精密業界などを担当。『週刊東洋経済』臨時増刊号「名古屋臨増2017年版」編集長。著書に『百貨店・デパート興亡史』(イースト・プレス)。

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