オープンハウス、「暴力団に関与」同業買収の背景 ライバル企業やアクティビストも狙っていた

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M&Aをテコに業容を拡大してきたオープンハウス。都内23区など都心部での展開に強みを持つ(撮影:尾形文繁)

「われわれも買収のアプローチをしていたのだが、先をこされた」。あるハウスビルダーの幹部は唇をかむ。

この幹部が言う、買収を狙っていた企業とは、東京や埼玉などで戸建て分譲を展開する三栄建築設計のことだ。「行こうぜ1兆!2023」のスローガンを掲げ、今期に売上高1兆円超えを確実視する、ハウスビルダーのオープンハウスグループは8月16日、この三栄建築にTOB(株式公開買い付け)を実施し、完全子会社化を目指すことを発表した。

元社長が暴力団員に金銭を供与

三栄建築については、元社長が暴力団員に金銭を供与していたとして、東京都公安委員会から暴力団排除条例に基づく勧告を受けていた。新たな体制で、経営の建て直しを図る。

オープンハウスは8月17日から9月28日まで、1株当たり2025円で三栄建設株に対してTOBを実施する。買い付け代金は429億円。三栄建築株の63%超を保有する元社長の小池信三氏とは、公開買付公募契約書を締結している。この公開買い付けの成立後、スクイーズアウト(少数株主から強制的に株式を取得する手法)を実施し、完全子会社化する。

三栄建築の2022年8月期業績は売上高1390億円、営業利益128億円。買収が完了すれば2024年9月期から、オープンハウスの業績(2023年9月期売上高1兆1300億円、営業利益1410億円計画)に、三栄建築の業績が上乗せされる。

三栄建築の純資産額は611億円(2023年5月末時点)と買い付け代金とは差があることから、2024年9月期に負ののれん特別利益が計上される可能性も高い。

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