オープンハウス、「暴力団に関与」同業買収の背景 ライバル企業やアクティビストも狙っていた

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三栄建築の小池氏とオープンハウスの荒井正昭社長は、個人的なつながりもあった。両者は業界団体である日本木造分譲住宅協会の理事を務める(小池氏は2022年11月辞任)。同じく理事であるケイアイスター不動産の塙圭二社長を含めて、「3人で食事をすることもあるなど仲が良い」(ハウスビルダーの幹部)と言われる。

こういった経営トップ同士の関係も、買収スキームがまとまる要因になったと考えられる。

解体工事代金の一部が住吉会系の暴力団員に

オープンハウスが8月16日に公表した「株式会社三栄建築設計株式に対する公開買付けの開始に関するお知らせ」によると、小池氏と暴力団員との関係は「少なくとも20年以上の長期にわたるもの」とされる。

暴力団員の便宜を図ったり、トラブルの交渉を委ねたりしていていた。2021年3月には、解体工事を発注した業者に対する工事代金として、小切手を指定暴力団の住吉会系の暴力団員に対して交付し、利益を供与した。

そして2022年9月に警察当局により、小池氏と他3名が会社法違反(特別背任)容疑で捜索を受ける。この動きをうけて、小池氏は同年11月に代表取締役を辞任。今年6月20日には、東京都公安委員会より東京都暴力団排除条例に基づく勧告を受ける。

この間、金融機関の融資姿勢が極めて慎重になり、6月26日には取引金融機関の1行から、融資契約にかかる反社会的勢力排除条項に抵触するとして、「期限の利益の喪失通知」(債務者がこれ以上は返済を待てないと残金の一括返済を求める通知)を受けていた。

一方、オープンハウスはこれまで、「攻め」の経営で業容を拡大してきた。「M&A(企業の合併・買収)をまとめるのがうまい」(ハウスビルダーの幹部)とされ、2015年にはアサカワホーム(現オープンハウス・アーキテクト)、2018年にはホーク・ワンを完全子会社化、そして2021年1月にプレサンスコーポレーションを子会社化した。

足元の業績も好調だ。戸建て、マンション、不動産開発の全セグメントで業績が拡大。過去最高純利益を更新中で、財務基盤も厚い(2023年6月末自己資本比率33.7%)。

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