オープンハウス、「暴力団に関与」同業買収の背景 ライバル企業やアクティビストも狙っていた

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三栄建築については、「安定していてよい会社」(ハウスビルダーの幹部)と評価する関係者が多い。「戸建て業界のさまざまなコンテストの受賞実績があるなど、デザイン力の高いことで有名」(別のハウスビルダーのベテラン社員)。

経営トップが暴力団員と関わりを持っていた同社は、2021年後半あたりから株価が低迷していたこともあり、複数の企業が三栄建築の買収に関心を持っていたと見られる。ハウスビルダー幹部は次のように語る。

「戸建て販売のシェアを上げるチャンスだったこともあり、当社も三栄建築側に『資本参加してもいい』という話をしていた。三栄建築は、ビッグモーターとは違う。創業者で元社長の小池信三氏と一部の幹部が反社会的勢力との関係があっただけで、組織全体は悪くない。経営トップを入れ替えて、再成長を目指すシナリオが描けた」

三栄建築設計の戸建て
三栄建築設計は戸建てのデザイン力の高さで業界から一目置かれる(写真:三栄建築設計)

あの「モノ言う株主」もTOBを画策

今年7月には、香港の投資ファンド、オアシス・マネジメントも三栄建設に対して、TOBを検討する提案書のドラフトを送っていた。

ハウスビルダーやアクティビストの思惑が入り交じり、「買収争奪戦」の様相を呈していたが、混乱する事態にはならなかった。三栄建築とオープンハウスの両社の主要取引行である三井住友銀行が、「橋渡し役になった」(ハウスビルダーのベテラン社員)ことで、オープンハウスの買収スキームがまとまったからだ。

「三井住友銀行は、11月に予定される三栄建築の定時株主総会を乗り切れない(小池氏が取締役として選任されない)と判断し、一刻も早く手を打つ必要があると、動いたようだ」(別の業界関係者)。

小池氏からオープンハウス側に株式譲渡の打診があったのは今年6月24日。オープンハウスは、三栄建築が設置した第三者委員会の調査報告書などを確認したうえで、8月16日に買収を決定した。

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