鹿島が独り勝ち!ゼネコン決算「明暗」わけた3要因 「毒饅頭」を食らわなかった異次元の受注戦略
「1社だけ、次元の違う数字だった」。スーパーゼネコンのあるIR担当者は、そうつぶやく。
上場するスーパーゼネコン4社の決算が出そろった。4社ともに増収路線であるものの、本業の儲けを示す営業利益を見ると、「勝ち組」と「負け組」が鮮明にわかれる構図となった。
鹿島は前2023年3月期の売上高が2兆3915億円(前期比15%増)で、営業利益については従来計画(2月14日に発表した修正計画)を25億円上回る1235億円(同0.1%増)での着地となった。「建設事業の工事が順調に進捗した。海外も開発事業が牽引した」。鹿島の内田顕取締役は、5月15日に行われた決算説明会で胸を張った。
一方、大成建設は前2023年3月期の営業利益が、従来計画を422億円も下回る547億円(前期比43%減)、清水建設も営業利益が従来計画に168億円未達の546億円(同21%増)に終わった。大林組は営業利益が従来計画を超えて938億円(同128.5%増)となり、前期の低水準からは改善したが、1000億円をらくに超えていた数年前ほどの力強さはなかった。
負け組3社の2倍の利益をたたき出す
大成建設については、札幌市の複合ビル工事で精度不良が発覚し、その対応費用が圧迫した。このように、各社それぞれに個別の事情があったが、基本的には負け組の3社は受注時採算の厳しい工事が進行していたところに、急激な資材高に見舞われ、利益率が低くなるという図式だった。
優勝劣敗の構図は、今2024年3月期計画を見るとよりハッキリする。鹿島は営業利益1420億円(前期比15%増)。他方、前期苦戦した大成建設は営業利益640億円(同16.9%増)、清水建設は営業利益575億円(同5.2%増)と、回復が緩慢な水準だ。そして、大林組は営業利益740億円(同21.1%減)と反落する。
単純に計算すると、勝ち組の鹿島の今期営業利益は、負け組であるほかの3社の2倍をたたき出すことになる。
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