ゼネコンが足元で加速する「両利きの経営」の正体 建設と非建設の「二兎を追う」新時代に突入

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大林組がアメリカのスタートアップと行う重機自動運転の実証実験
大林組はアメリカのスタートアップと連携し、重機の自動運転の実証を進める(写真:大林組)
ゼネコン業界の再編機運がここに来て一気にヒートアップしている。背景にあるのは建設市場の先行きの不確かさを見据え、「非建設」事業を強化する動きだ。
9月5日発売の『週刊東洋経済』では、「ゼネコン『両利きの経営』」を特集。転換期を迎えるゼネコン業界の最前線を追った。

ゼネコンは今後、不確かな時代に突入する。少子高齢化に伴う国内建設投資の縮小や慢性的な人手不足、そして気候変動への対応など課題が山積している。

こういった環境の変化を受け、ゼネコン業界では目下、再編の機運が一気に高まっている。再編と言っても、これまでのようにゼネコンとゼネコンが統合する「1+1」の形式ではない。今後はあらたな「3つの形」で再編が進むと考えられる。

「あれにはびっくりした」。スーパーゼネコンの首脳が驚くのは、総合商社大手の伊藤忠商事が、準大手ゼネコン・西松建設へ昨年12月に出資したことだ。総合商社が大手ゼネコンに出資することは、それまでにはなかった。

ゼネコン業界再編の「3つの形」

伊藤忠の狙いは、成熟市場とされる建設市場でグループ内のリソースを使って多角化展開し、新たな鉱脈を掘り起こすことだ。伊藤忠のように、今後はゼネコン業界に異業種が参入してくるケースが増えてきそうだ。これが再編の新しい形の1つめだ。

2つめは、緩やかなアライアンスである。鹿島と竹中工務店、清水建設が幹事となって、次世代技術の開発で連携する「建設RXコンソーシアム」が2021年9月に発足したことが代表例だ。

週刊東洋経済 2022年9/10号[雑誌](ゼネコン「両利きの経営」)
『週刊東洋経済 2022年9月10号(9月5日発売)の特集は「ゼネコン『両利きの経営』」です。書影をクリックするとAmazonのサイトにジャンプします。紙版はこちら、電子版はこちら

3つめはM&A(合併・買収)によるグループ化である。戸田建設が昭和建設を、高松コンストラクショングループが大昭工業を子会社化した動きがこれにあたる。

再編機運の高まりの背景には、2つの事情がある。1つは次世代技術への対応だ。

脱炭素化やDX化といった社会のサステイナビリティーが重要度を増しており、こういった技術の開発には個社での対応には限界があると、ゼネコン各社は悟りだしたのだ。「今まで労働集約型だった建設業は、技術優先型の産業に変わっていく必要がある」。大成建設の相川善郎社長はそう強調する。

再編機運の高まりの背景にある、もう1つの事情。それは少子高齢化に伴う国内建設市場の先細りを見据えて、ゼネコン各社は新たな食い扶持の確保に躍起になっている点だ。

つまり、建設事業と非建設事業を同時に拡充する「両利きの経営」を追求するために、異業種や同業者との連携強化を図っているのだ。

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