いまだに根強い建設業「一升瓶営業」体質の呪縛 ゼネコン「業界OS」のアップデートが急務に
昭和の「人間関係を重視した慣行」
一升瓶を手に「お施主様」のところにごあいさつに伺い、工事の受注をとってくる。さすがにそんなことは昔の話だとしても、建設・ゼネコン業界では人間関係を重視した慣行がいまだに残っているのではないでしょうか。
昭和の高度成長時代から、長期的な市場成長への展望を背景に、建設・ゼネコン業界の受注者側としては、国や自治体、民間デベロッパーなどの発注者との安定的な関係構築・維持を模索するようになります。結果、追加費用の発生等のリスクを営業活動や業界特有の「貸し借り」の名目で受注者側が積極的に引き受けるようになったように見受けられます。
一方で、発注者側も受注者である建設・ゼネコン業界がリスクを含めてさまざまなことを引き受けてくれる方針に乗り、工事の進め方や下請けを含む外注方針についても口を挟まない「お任せ」の傾向が強まりました。
発注者側としては納期どおりに工事を完成してくれることが自社事業の運営上の大きな利益の源泉になることから(ビルの営業や工場の操業が遅れることを想像するとわかりやすいと思います)、「なんとかしてくれる」ゼネコンとは良好な補完関係(すみ分け)の構造・慣習ができてきました。
このことは、発注者側に細かい価格の妥当性のチェックやプロジェクトのリスク管理等のノウハウが蓄積しないまま市場が拡大したことにもつながります。そして、公共投資が増加する中で公共工事の入札にダンピングなどさまざまな問題が指摘されることにもなりました。
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