いまだに根強い建設業「一升瓶営業」体質の呪縛 ゼネコン「業界OS」のアップデートが急務に
関係性維持の「戦略」と「組織機能」
これまでの「業界OS」の主な特徴としては、発注者との関係重視以外に以下が挙げられます。
完成物を、発注者をはじめとする関係者の要望に沿った(特殊な)形とするための「作り込み」の追求。
発注者との関係維持を優先しより強固なものにするため、設計業務等本来発注側で担うべき機能やリスクの抱え込み。その中で「作り込み」を追求するため、施工現場でのすり合わせの徹底。
発注者とゼネコンの関係がその先の取引関係にも及び、工事内容が高度化・専門分化する中での「多重下請構造」の固定化。
これらの特徴は、事業戦略とそれを支える組織機能と業務プロセス、それが表出したビジネスモデルというゼネコン各社の事業運営の各要素も強固に固定しています。
発注者との関係性維持という方向性が「戦略」とすると、それを支える「組織機能」として設計部門等を内製化し、設計施工一括を前提としたすり合わせの「業務プロセス」を磨き上げ、特殊な作り込みを行った製品を供給する「ビジネスモデル」を作り上げたとみれば、これらは見事なまでに整合した仕組みであったと見ることができるでしょう。
一方で、「作り込みの追求」「機能の抱え込み」「多重下請構造」は、今となっては採算性の低下・人材不足・若者の業界離れといった諸問題を引き起こす業界の大きな呪縛になっているのではないでしょうか。さらに、副次的には、契約の不透明性、各種知見の受注側への偏重、価格形成の不透明性が生まれ、これらが業界全体の健全な発展すら阻害しています。
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