いまだに根強い建設業「一升瓶営業」体質の呪縛 ゼネコン「業界OS」のアップデートが急務に
平成も後半になって、他業界で多くの日本企業がグローバルでの競争にさらされ、変化しようとしていく中でも、国内ゼネコンのビジネスモデルには大きな変化は見られませんでした。
「お施主様」との関係性を競い合って獲得する慣行は変わらぬままです。ゼネコン各社にとっては「来た球を打てる」ことが重要な競争力で、自ら選択と集中を行う間もなく、すべてのあらゆる工事に対し幅広くフォローすることこそが重要であるとの考えが根強いように見えます。
「戦略を考えても仕方がない」
「建設業界は特殊な業界だから、ほかの業界の経験や事例は参考にならない」
「建設業は受注型産業で単品受注生産は製造業をはじめとするほかの業界とは異なる」
このような認識で、業界他社とほぼ似通った中期経営計画が見られるなど、横並び・均質化の状況が顕著です。
製造業をはじめとする他業界で進んでいる「デジタル化」「標準化」「レイヤー化(機能による役割分担)」は建設業界にとっても避けられない潮流ですが、業界内部では、その認識が乏しいように見受けられます。
「業界OS」のアップデートが急務
市場の成長・建設需要の増加が続いていた長い間、発注者・受注者双方にとって「安定的に取引を継続する」ことが最も合理的であったと言えるでしょう。
国内市場の成長が終焉を迎え、安定的な取引関係を前提にしたリスクや投資の役割分担の前提が崩れてもう20年以上が経過しています。にもかかわらず、こうした過去からの行動様式はコンピューターのOSのように関係者の挙動を左右し続けています。
建設・ゼネコン業界を取り巻く環境は、足元は再開発工事や国土強靱化関連工事が底堅く推移していますが、「値下げ圧力で採算は厳しい」「資材高、人件費高で利益率は低下」「再開発案件はほとんど赤字」というのが現状です。
建設・ゼネコン業界の各社が勝ち残るためには、発注者との関係維持を最優先する旧来の「業界OS」の見直し、アップデートが急務となっているのです。
無料会員登録はこちら
ログインはこちら