住宅購入者も無縁でない深刻化する施工者不足

家づくりの現場にある「今そこにある危機」

住宅の施工現場を担う人材が不足しており、今後さらに深刻化することが予想されている(筆者撮影)

腕のいい職人(大工など)や工事店を紹介してくれないか――。

住宅ジャーナリストの筆者に対して、近年こんな話を嘆息混じりに投げかけてくる住宅事業者が増えてきた。今、住宅業界、そして建設業界全体で施工現場の実務を支える人たちが不足しており、切実な問題になっているからである。

これは事業者にとって経営を揺るがしかねない問題であるが、同時に住宅を購入する人にとってもトラブルに遭遇する可能性が高まることにつながるため、決して無関係ではない。「住宅業界の今そこにある危機」といっていい。

そのため今、事業者たちはさまざまな取り組みを行い、危機への備えを行おうとしている。本稿は住宅施工現場の現状を伝えるとともに、消費者にとって満足度の高い住宅取得のためのヒントを提供する。

同時進行で質の低下も

一般社団法人住宅生産団体連合会がまとめた『経営者の住宅景況感調査(令和元年度第4回報告)』によると、今後6カ月(2019年10月調査時点から)の技能職人(大工)数について、「不足」が圧倒的であり「過剰」という回答はまったくなかった。

ちなみに、「建築の手間賃」と「資材価格」についても同様に聞いており、いずれも今後は「(現状から)変わらず」「上がる」が圧倒的に多く、「下がる」という回答は皆無に近い状況となっていた。

以上から、施工者が非常に不足していることがご理解いただけると思う。ただ、より重要な問題はただ単に人が少なくなっているだけでなく、彼らの質の低下も同時に進行しているということである。

国土交通省による『建設業及び建設工事従事者の現状』によると、2016(平成28)年では建設業就業者の55歳以上は約33.9%(全産業は29.3%)で、29歳以下の若い世代は11.4%(同16.4%)となっていた。この数字はもちろん、住宅の大工だけでなく建設従事者全体の数字だが、現状をよく表している。

国土交通省が作成した『建設業及び建設工事従事者の現状』が示す、建設業就業者の年齢層の推移(出所:国土交通省『建設業及び建設工事従事者の現状』)
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