住宅購入者も無縁でない深刻化する施工者不足 家づくりの現場にある「今そこにある危機」

著者フォロー
ブックマーク

記事をマイページに保存
できます。
無料会員登録はこちら
はこちら

印刷ページの表示はログインが必要です。

無料会員登録はこちら

はこちら

縮小

外国人については、すでに建設現場でよく見かけるようになった。しかし、その一方で研修制度の不備などをついた違法就労、あるいは労働・生活環境に対する社会的な批判も高まっており、問題点が多いのが実情だ。

このため、技能や日本語教育などを施したうえで、施工現場に投入するといった動きが見られる。とはいえ、衣食住を含めたケアが行き届いた環境でなければ、質の高い仕事は望めない。そのため、外国人に安易に依存することはトラブル発生の種にもなりかねない。

ロボットやアシストスーツを導入

最先端技術の導入については、現場での作業が困難で疲労度が高い作業を肩代わりするロボットの投入などが、現在急ピッチで開発されている。ただ、導入コストが非常に高いなどのネックもある。

このほか、身体に大きな負荷がかかる天井ボードの設置向けのアシストスーツを現場に導入するなどの動きも少しずつ見られるようになってきた。これもコスト負担は大きいが、高齢者や女性の作業者などが施工現場で活躍するのに役立つと期待されている。

積水ハウスが導入に向け動いている「天井石膏ボード張り施工ロボット」。作業の負担を最大7割軽減できるという(筆者撮影)

上記の3点もそれぞれに課題があり、施工者不足は今後も事業者を悩ませそうだ。また、優秀な人材は今、引く手あまたであり、賃金も上昇気味。かといって、未熟な施工者を安い賃金で雇用することは、欠陥住宅問題の発生など経営問題を引き起こしかねない。

以上は事業者側から見た「危機」の実態だが、では消費者はこのような状況を受けて、どのような点に注意し行動すればいいのだろうか。結論を先に言うと、筆者は施工現場の見学を必ず行うことをお勧めする。

その具体的内容を紹介する前に、施工体制に不備がある住宅事業者と契約、あるいはその住宅を取得した場合、どのような問題があるかを確認しておきたい。大きく以下のようになる可能性が高まる。

・工事期間が長引き、約束した期日までに引き渡しが行われない
・引き渡し(建築途中)前に事業者が倒産し、工事が一定期間ストップする
・入居後、不具合、欠陥が見つかる

重大な欠陥が見つかることは絶対に避けたいが、それ以外も施主にとっては大変なストレスになるので回避したいものだ。このうち、引き渡し時期の遅れは原則、事業者の責任だが、施主側にも仮住まい費用の増加など思わぬ出費が発生するケースもある。

引き渡し前に事業者が倒産した場合、当然、工事が一定期間ストップするため、別の事業者による工事が再開されても、ストップ中には十分な養生がされておらず、躯体にダメージが発生し、耐震性や耐久性などが通常より低下する可能性が高くなる。

次ページ軽微な欠陥は住宅の建築には付き物
関連記事
トピックボードAD
ライフの人気記事