なぜ私がこんなに細かく具体的に挙げよというのか。それは、感想のオリジナリティは「細かさ」に宿るからです。
たとえば本の感想が「面白かった」としか書けないという悩みは、本の「どこが」面白かったのか考えていくなかで、解消されていきます。この本の「この行動が」自分と違う価値観に基づいていて驚いた、「この台詞が」自分にも言われているようで感動した、「このキャラクターが」いちばん印象に残った。そんなふうに面白かった箇所を細分化していくと、どんどん自分の言葉が生まれていきます。
たとえば「考えさせられた」という言葉しか出てこないときも、「どこが?」「どんなふうに?」と細かく具体的に深掘りしていくことによって、言語化がうまくいくことが多いのです。
「細分化」することで言語化しやすくなる
細分化さえできれば、語彙力なんてなくても、言葉が出てきやすくなる。なぜなら言語化というと、何かをそっくりそのまま言い換えることのように思われますが、実際はそうではないから。言語化とは、「どこが」どうだったのかを、細分化してそれぞれを言葉にしていく作業なのです。
もちろん、語彙力があるに越したことはありません。本を読んでいると、たくさんの語彙が手に入って、それによって自分の使える言葉が増えていくという経験は絶対に存在します。
しかし同時に、語彙力さえあれば言語化がうまくいくというものではない、ということもまた事実。語彙をたくさん知っていても、その語彙を使うタイミングがわからなければ、やっぱり言語化はうまくいきません。
言語化とは、細分化である。自分の言いたいことを細かく掘り下げていくことで、自分の言葉が生まれてくる。そのことをぜひ、覚えてみてください。
もしお子さんの読書感想文を指導していて、言葉が出てこないタイミングがあったら。ぜひ、どこに面白さを感じたのか、付箋を貼ってもらい、その付箋を貼った箇所について詳しく説明してもらいましょう。そのなかで言葉が出てくるようになります。どういう言葉が自分の感情を説明するのに適切なのか、考える訓練を積めばいいんです。
細かく、具体的に。そのことを意識して、ぜひ読書感想文をお子さんと一緒に楽しんでみてくださいね。
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