夏休みに宿題として出され、多くの子どもたちを悩ませる読書感想文。「子どもたちに、本を読む楽しさを知ってほしい」と思う反面、「自分も書くのが苦手だったな……」と思う方も少なくないのでは?
そこで東洋経済オンラインでは、プロの書評家・三宅香帆さんが小中高校生の読書感想文の課題図書を読み直し、本気で読書感想文にする企画を実施。「読書感想文のコツ」を届けつつ、「想いを文字にする楽しさ」「本を読む楽しさ」を子どもたちに知ってもらうことを目指します。
約8週間にわたってお届けする短期集中連載の初回は、「青春小説の金字塔」と名高い『夜のピクニック』(恩田陸著)をお届け。編集部に課題図書を出された三宅さんは、本作の感想文をどのように綴ったのでしょうか?
誰でも簡単に「褒められる読書感想文」を書ける手法があります。
本当に、誰でも、です。
まずはその手法を使った読書感想文を読んでみてください。
三宅さんが実際に書いた読書感想文
『夜のピクニック』を読んで 三宅香帆
学生時代、私は体育祭が嫌いだった。
そもそも体を動かすことが嫌い。体育祭の日は、一日中炎天下で運動するなんて辛すぎる。いくら仲の良い友達と一緒にいても、走ることも、歩くことも、できればしたくない。
そう思っていた中学生の時、本書を手に取った。
あらすじには「この学校には、修学旅行のかわりに、夜通し80km歩く行事がある。そのなかで起こる青春模様を描いた小説」とある。
うげえ。
私は顔をしかめた。
旅行じゃなくて徹夜で歩くなんて、地獄か。マラソン大会や駅伝を一晩中やるようなもんだ。
しかし、だ。本書を読み終わった後、私は不思議と感動してしまった。
それはこの作品が、「一緒に歩くことによって、はじめて誰かに本当のことを話すことができる瞬間」を描いていたからだ。
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