歩くだけ。歩くだけなのに、普段教室のなかで座って喋っている時には出てこない本音が、ぽろりと出てくる。――その様子に、私は心を動かされてしまった。
主人公は、誰にも言えなかった賭けに出る。それはほかならない、みんなで夜を明かし、歩いてきたからなのだ。歩くだけなのに、なんでこんなに特別なんだろう。振り返れば、今日が特別だったと思うのかもしれない。主人公はそうぽつりと呟いていた。
それを読んで思った。もしかすると私は、学生時代のうちに、こんなポジティブな青春の欠片を受け取ってみたいのかもしれない。誰かと一緒に、特別な時間を過ごしてみたいのかもしれない。
――そう思うと、なんだか嫌でしょうがなかった体育祭も、自分の青春の欠片になるのかもしれない、ときらきらして見えてくる。私は読書の不思議な効用を知ったのだった。
さて、この読書感想文にはどんな方法が使われているか、わかりますか?
読書感想文は「嫌い」がある人こそ有利
読書感想文のコツはただひとつ。「自分の嫌いなモノについて書いた本を選ぶこと」です。
たとえば、私だったら体育が大嫌いでした。そして体育祭のような行事も大嫌い。マラソンもスポーツ大会もすごく嫌いでした。
しかし、読書感想文は、その「嫌い」がある人こそ、有利です。それは読書感想文とは、「この本を読んで、私はこう変わりました」と言えばいいジャンルの作文だから。
つまり……
① 自分の嫌いなモノについて書いた本を選ぶ
② その本を読んで「嫌いだったモノが、好きになった」内容の感想文を書く
② その本を読んで「嫌いだったモノが、好きになった」内容の感想文を書く
これだけで、「褒められる読書感想文」が完成してしまうのです。
というのも、読書感想文は「この本が、面白かったです」だけで終わると、なかなか褒められません。なぜなら読書感想文というジャンルは、先生が「本を読むことで、この生徒はいい人間に変わっている」ことを確認したいために作られた課題だからです。
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