書評家が指南「楽しくない読書感想文」克服のコツ 読書感想文は退屈な宿題…ってことはない!

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読書する女子学生
褒められる読書感想文の書き方がある一方で、「褒められないかもしれないけど、書いていて楽しい読書感想文の書き方」もあります(ferrantraite/Getty Images)
夏休みに宿題として出され、多くの子どもたちを悩ませる読書感想文。「子どもたちに、本を読む楽しさを知ってほしい」と思う反面、「自分も書くのが苦手だったな……」と思う方も少なくないのでは?
そこで東洋経済オンラインでは、プロの書評家・三宅香帆さんが小中高校生の読書感想文の課題図書を読み直し、本気で読書感想文にする企画を実施。「読書感想文のコツ」を届けつつ、「想いを文字にする楽しさ」「本を読む楽しさ」を子どもたちに知ってもらうことを目指します。
約8週間にわたってお届けする短期集中連載の第4回は『ぼくは勉強ができない』(山田詠美著)を題材に、「先生には褒められないかもしれないけど、書いて楽しい読書感想文」について考えます。

前回、読書感想文が日本の国語教育の中で求められる意味について解説しました。

「先生に褒められる」読書感想文とは、読書を通して自分の価値観がどう変わったのか? を書く、というもの。もちろんこの書き方でも、読書感想文としては何ら問題はありません。いわばこれは「読書感想文の入門編」のひとつです。最小限の力で、先生に褒められる作文を書くためのメソッドのようなものですから。

しかし先生に褒められる、求められる書き方ばかりでは、飽きてしまいますよね。たまには「先生に求められていない書き方」も、やってみましょう。

私が思う「読書感想文の中級編(※先生には褒められないバージョン)」。それは、「本のテーマと構造を説明すること」です。

……テーマと構造、なんて言い方をすると、身構えてしまうかもしれませんね。具体的に説明しましょう。

『ぼくは勉強ができない』を三宅さんが読むと…

たとえば、今回読書感想文の例として挙げるのは、山田詠美さんの青春小説『ぼくは勉強ができない』

もはや青春小説の古典とも言える、不朽の名作。「ぼくは勉強ができない、だけど女の子にはもてるんだ」と堂々と言う主人公・秀美くんの高校生活を描いた物語です。

さて、この小説について読書感想文を書こうと思うと、まず第一ステップで考えるべきは、「この小説のテーマをひとことで言うなら、なんだろう?」ということ。

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