前回、読書感想文が日本の国語教育の中で求められる意味について解説しました。
「先生に褒められる」読書感想文とは、読書を通して自分の価値観がどう変わったのか? を書く、というもの。もちろんこの書き方でも、読書感想文としては何ら問題はありません。いわばこれは「読書感想文の入門編」のひとつです。最小限の力で、先生に褒められる作文を書くためのメソッドのようなものですから。
しかし先生に褒められる、求められる書き方ばかりでは、飽きてしまいますよね。たまには「先生に求められていない書き方」も、やってみましょう。
私が思う「読書感想文の中級編(※先生には褒められないバージョン)」。それは、「本のテーマと構造を説明すること」です。
……テーマと構造、なんて言い方をすると、身構えてしまうかもしれませんね。具体的に説明しましょう。
『ぼくは勉強ができない』を三宅さんが読むと…
たとえば、今回読書感想文の例として挙げるのは、山田詠美さんの青春小説『ぼくは勉強ができない』。
もはや青春小説の古典とも言える、不朽の名作。「ぼくは勉強ができない、だけど女の子にはもてるんだ」と堂々と言う主人公・秀美くんの高校生活を描いた物語です。
さて、この小説について読書感想文を書こうと思うと、まず第一ステップで考えるべきは、「この小説のテーマをひとことで言うなら、なんだろう?」ということ。
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