辻村深月「凍りのくじら」感想文をプロが書くと… 学生必見!書評家・三宅香帆さんが書き方を解説

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今回は、すでに課題図書が設定されている読書感想文の書き方をご紹介します(写真:zak/PIXTA)
夏休みに宿題として出され、多くの子どもたちを悩ませる読書感想文。「子どもたちに、本を読む楽しさを知ってほしい」と思う反面、「自分も書くのが苦手だったな……」と思う方も少なくないのでは?
そこで東洋経済オンラインでは、プロの書評家・三宅香帆さんが小中高校生の読書感想文の課題図書を読み直し、本気で読書感想文にする企画を実施。「読書感想文のコツ」を届けつつ、「想いを文字にする楽しさ」「本を読む楽しさ」を子どもたちに知ってもらうことを目指します。
約8週間にわたってお届けする短期集中連載の第2回は、凍りのくじら(辻村深月著)をお届け。編集部に課題図書を出された三宅さんは、本作の感想文をどのように綴ったのでしょうか?

前回は「自分で本を選ぶことのできる」パターンの読書感想文の書き方について解説しました。つまり課題図書などが決まっていない場合の、読書感想文ですね。

その場合、自分で選ぶ本は、できるだけ自分から遠い題材のものにするといい。そして自分の体験まで含めて書くといい。……それが前回伝えた「読書感想文の書き方」でした。

課題図書が設定されている読書感想文の書き方

では、課題図書が決まっている場合、どのような書き方をすればいいのでしょうか?

「この本を読んで感想文を書かなくてはいけない」という、すでに課題図書が設定されている読書感想文の書き方を、今回はお伝えします。たとえば、学校に指定された課題図書が、辻村深月さんの小説『凍りのくじら』だったとしましょう。

凍りのくじら (講談社文庫)
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主人公は高校生の理帆子。彼女は地方の進学校に通っているが、その教室の人間関係を冷めた目で見つめている。そして放課後には、他の学校の子たちと夜遊びをする日々。何にも必死になれない理帆子にとって、唯一好きなものは、藤子・F・不二雄の描いた世界だった。それはいなくなった父親と理帆子を繋ぐ作品なのだ。そして理帆子は、ある日、図書室で不思議な青年と出会う——。

これが簡単な『凍りのくじら』冒頭のあらすじです。

それでは、本書についての読書感想文を書こうとするとき。まず、何から始めたらいいでしょうか?

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