意外と誰も知らない「END」のもう1つの深い意味 西欧と日本「時間に対する考え方」の違い

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佐藤優氏が生徒たちに語った「END」のもう1つの意味とは(写真:クロスメディア提供)
日本と西洋では、ものごとの捉え方が大きく違うことがあります。「時間」という概念もその1つです。「時間を直線的に捉えるのがキリスト教、曲線的に捉えるのが仏教です。この考え方は今の私たちの生活にも根ざしています」というのは、元外交官で作家の佐藤優氏。今回は佐藤氏の近刊『読解力の強化書』の中から、氏が青山学院横浜英和中学高等学校の中学3年生に対して行った講義の一部を抜粋・再構成して紹介します。

「END」のもう1つの意味とは?

佐藤 優:(以下佐藤) 皆さん英語のENDの意味は当然、知っているよね?

生徒: 「終わり」です。

佐藤そう、終わりって意味だけれども、辞書を持っている人は引いて確かめてほしい。「終わり」の他に訳がないかな?

生徒: 「先端」

佐藤: はい、それで全部かな?

生徒: 「目的」とあります。

佐藤: そう。「目標」とか「目的」とあるでしょう。学校の勉強では、ENDは「終わり」という意味しか教えてくれないよね。でも本来はこういう意味があるんだ。

これはギリシャ語のテロスという言葉から来ています。ギリシャの哲学者たちは、誰もが避けられない死というものを前にして、終わりであり目的、完成であるテロスという概念を作りました。それが西洋の考え方の基本として、いまにつながっています。これはキリスト教の考え方にも表れているよ。どういうものかわかる?

生徒: …………

佐藤: キリスト教では、この世界は最後にどうなる?

生徒: 最後の審判?

佐藤: そう、その通り。キリストが再び地上に現れて、生きているすべての人はもちろん、すでに死んでいる人も呼び集められる。そして、神によって生前の考え方や行いが裁かれる。選ばれた人は神の国で永遠の命を得て、それ以外の人はゲヘナという地獄に永遠に落ちることになる。それが最後の審判だね。

イエスが復活して弟子たちの前に現れ、そのことを告げた時、人々はそれがもっとすぐにやってくるものだと考えていた。でも、いまだに再臨はないよね。ふつうの時間感覚からすると、もう来ないんじゃないかと思うくらいだけど、キリスト教徒はそうは考えない。

いずれにしても、キリスト教の時間の考え方は、始まりから最後の審判の世界の終焉まで一直線で、最後の審判でこの世界も時間も一度終わる。これを「終末論」とか「終末的世界観」と呼びます。

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