意外と誰も知らない「END」のもう1つの深い意味 西欧と日本「時間に対する考え方」の違い
生徒: 魂が抜けて天に行く‥…?
佐藤: その魂はどうなるの? そのまま?
生徒: 生まれ変わります。
佐藤: そうだね。仏教では魂のレベル、つまり煩悩の大きさに応じて6つの世界のどれかに生まれ変わるとされています。一番上等とされる、煩悩の少ない魂は「天上界」で生まれ変わり、天人になります。
天人の寿命はだいたい1000年くらいと言われていて、苦しみがなく穏やかで貧困などもありません。天空を自在に飛ぶことができ、平和で暮らしやすく何一つ不自由がないのですが、唯一の苦しみが死ぬ時。若々しかった肉体が一気に衰えます。
それまでが大変恵まれていただけに、衰えた自分を見るのは大変辛い。そして生まれ変わって、また天人になれるかわからない。その時の悲しみと苦しみは想像できないほど大きいとされます。
喜びよりもはるかに苦しみが大きい世界
佐藤: その次が、私たちがいる「人間界」。生きる喜びもありますが、はるかに苦しみや悲しみが大きい世界です。正しい生き方、仏法は伝えられていますが、煩悩ゆえになかなかそのように生きる人はいません。戦乱や飢饉、疫病、自然災害などの厄災が絶えず起きます。
その下の世界が「修羅界」です。ここでは常に戦いが起きていて、あらゆる人々が和睦することなく絶えず戦い、争っている。
その下が「畜生界」で、仏法がほとんど理解できず、何者かによって家畜のように支配され、それに従って生きるだけの世界です。知恵がほとんど働かない世界なので、救いもほとんど期待できないとされています。
その下が「餓鬼界」。食べ物がなく、ようやく見つけて食べようとすると、口の中に入れる前に燃えてなくなってしまう。皆ガリガリに痩せていますが、我先に食べ物を得ようと鬼のような形相で争います。
一番下が、もっとも煩悩で汚れ、罪が深い魂が行くとされる「地獄界」です。血の池や針の山で、鬼たちに追いかけられる。ありとあらゆる苦しみが永遠に続く世界です。
この6つの世界──六道を私たちの魂はほぼ永遠にぐるぐる回るとされます。唯一、悟りを得て煩悩を克服した者だけが、この輪廻の輪から外れ、永遠の無である涅槃の境地に行くことができる。それが仏なんですね。
ちなみに人間界から仏になったのはお釈迦様、ゴータマ・シッダルタだけしかいないとされています。つまり、ほとんど例外中の例外なのです。だから、仏教圏の人たちは、時間は輪廻の輪の円環のように繰り返すというイメージが強い。キリスト教圏の直線的な時間概念とは対照的ですね。
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