勉強を「楽しめない人」「楽しめる人」の決定的な差 「その瞬間」を味わえた人だけが知っている条件

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東大の入試問題では、このような「1つの答えではない、考えるのが楽しい問題」が多く出題されます。

・なぜブルーベリー農家は東京に多いのか?
・なぜ朝焼けは雨、夕焼けは晴れなのか?
・ニュージーランド産カボチャが多いのはどうしてか?

もちろん、「これが絶対的な正解で、ほかは間違い!」というような答えはありません。ありませんが、さまざまなことを考え、答えを出すためにあれこれと複数の物事をつなげて考えていく過程というのは、「楽しい」と言えるのではないでしょうか。

「こういう要因も考えられるかも!」「こういう背景もあるのかな」と、知識を総動員して答えを探っていく、その過程自体の楽しさが、「思考的」な楽しさだと言えるのではないでしょうか。

楽しむためには「一定の知識」が欠かせない

「パズル的」は答えがピタッと出ることが楽しく、「思考的」は答えが1つに定まらないからこそ楽しい。そんな対比があるのではないかと思うのです。

さて、どちらのほうがみなさんにマッチしているかはわかりませんが、1つ言えるのは「ある程度知識がないと、どちらの楽しさも感じられない」ということです。

小学生くらいの知識量のうちに「勉強が楽しい」とはなかなか感じられません。知識量が乏しいと、パズルのようにあれこれ試して答えを1つに定めることも、問題に対する複数の解答を考えることも難しいからです。

「勉強が楽しい」と思えるようになるのは、一定の知識が必要でしょう。運動部で言うところの「走り込み」が必要なわけです。

RPGのゲームでもレベルが低いときは技が少なくて戦略もあまりありませんが、レベルが上がってくるとできることの幅が広がっていきますよね。それと同じで、最初の一定の期間は「走り込み」が必要なのです。

この「走り込み」期間をいかにして乗り切れるか、「この先に行ったら楽しさが待っているはずだ」と信じられるかどうかが、「勉強を楽しめるかどうか」を分ける1つの要素なのかもしれません。

西岡 壱誠 現役東大生・ドラゴン桜2編集担当

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にしおか いっせい / Issei Nishioka

1996年生まれ。偏差値35から東大を目指すも、現役・一浪と、2年連続で不合格。崖っぷちの状況で開発した「独学術」で偏差値70、東大模試で全国4位になり、東大合格を果たす。

そのノウハウを全国の学生や学校の教師たちに伝えるため、2020年に株式会社カルペ・ディエムを設立。全国の高校で高校生に思考法・勉強法を教えているほか、教師には指導法のコンサルティングを行っている。また、YouTubeチャンネル「スマホ学園」を運営、約1万人の登録者に勉強の楽しさを伝えている。

著書『東大読書』『東大作文』『東大思考』『東大独学』(いずれも東洋経済新報社)はシリーズ累計40万部のベストセラーになった。

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