私たち現代人は、かつてないほど騒音の影響を受けている。ここで言う「騒音」とは街中に響く音だけではない。日々接している大量の情報という騒音や、ネガティブな考えが頭から離れない「頭の中の独り言」という騒音もまた、増加し続けている。
これほど多くの刺激が人々の注意を消費している今、私たちはどうすれば心の平穏や明確な思考を維持できるのだろうか? これら危険な3つの騒音から逃れる方法はあるのだろうか?
今回、日本語版が9月に刊行された『静寂の技法』より、一部抜粋、編集のうえ、お届けする。
太古から人々が経験してきた苛立ち
言うまでもないが、生活のやかましさについて思いに耽るのはありふれたことだ。人はきっと、昔から同じ苛立ちを口にしてきたことだろう。
エミリー・トンプソンは著書『現代のサウンドスケープ(The Soundscape of Modernity)』で、紀元前500年頃の南アジアの大都市では生活がどれほどやかましくなりうるかを説明した初期の仏典に目を向け、「ゾウ、馬、二輪戦車、太鼓、小太鼓、リュートのような弦楽器、歌、シンバルのような打楽器、どら、『食べろ、飲め!』といった人々の叫び」を記している。
『ギルガメシュ叙事詩』の中では、神々が人々の騒音にうんざりして洪水を起こし、人類を一掃した。1世紀余り前にはJ・H・ガードナーが、馬車や呼び売り商人、ミュージシャン、動物、鐘など、「都市騒音の疫病」の目録をまとめた。
トピックボードAD
有料会員限定記事
ライフの人気記事