失われてしまった「深い読み」のスキル
2010年に刊行され、今日のほうがますますよく当てはまる、『ネット・バカ――インターネットがわたしたちの脳にしていること』という本の中で、ジャーナリストで社会学者のニコラス・カーは、オンラインの生活は中断に尽きる、と嘆いている。
そしてそのような生活は、人が情報を処理する方法を根本的なかたちで変える。
オンラインで物を読んで情報を集めれば効率が上がるにしても、人は「もっと時間をかけて観想する思考モード」を使う能力を失った、とカーは主張する。
つながりを形成するような種類の認知能力から、たんに些末な情報を漁るような種類の認知能力へと人は移行した、と彼は説明する。
「深い読み(ディープリーディング)」のスキルを失ってしまった、というのだ。
フロー状態のように感じられる種類の読書に没入したことがあるだろうか?
私たち著者は、長い飛行機の旅の間や、気を散らすものがない場所――ある程度の時間、他に注意を引こうと競い合うものが何もない状況――で、それを経験したことがよくある。優れた物語に完全に夢中になっているときに、それを感じてきた。