私たち現代人は、かつてないほど騒音の影響を受けている。ここで言う「騒音」とは街中に響く音だけではない。日々接している大量の情報という騒音や、ネガティブな考えが頭から離れない「頭の中の独り言」という騒音もまた、増加し続けている。
これほど多くの刺激が人々の注意を消費している今、私たちはどうすれば心の平穏や明確な思考を維持できるのだろうか? これら危険な3つの騒音から逃れる方法はあるのだろうか?
今回、日本語版が9月に刊行された『静寂の技法』より、一部抜粋、編集のうえ、お届けする。
呼気と吸気の間の時間
「自分の静寂をどこで見つけるのでしょう? それは、間(ま)で見つかります――呼吸の中に」と、イスラム神秘主義の導師シャブダ・カーンは言った。
彼の属するスピリチュアルな系譜によれば、呼吸は人が自分の内部の状態について知る必要のあることのいっさいを教えてくれるという。
「呼吸の神秘主義的な特性を調べれば、人の心を搔き乱す感情――それをそう呼びたければ、ですが――はすべて呼吸のリズムを乱すことがわかります」
彼はさらに説明してくれた。「寂しいときには、呼気に囚われ、腹を立てているときには、吸気に囚われる、といった具合に」
「間(ま)――呼吸の中」について語るとき、導師シャブダは呼気と吸気の間の時間のことを言っている。一方からもう一方への「スイング」のことだ。
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