書評家が断言!「読書感想文」で身につくチカラ 「作者の意図を読み取る」本質的な勉強になる

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……というふうに、「構成」に着目してみると、思いのほか、その本が伝えたかった「テーマ」に行き着きます。

これはまさに、小説における「対立」の構造と同じです。小説の場合は「対立」を考えることでテーマを導き出す、という構造でしたが。ノンフィクションの場合は、「構成」を考えることで、テーマが分かるようになるのです。

『科学者18人にお尋ねします。宇宙には誰かいますか?』概要
生物学、化学、物理学、生命科学、天文学…各分野のトップランナーが集結。最新成果をもとに、究極の謎に出した答えとは―。科学者自筆の宇宙人イラストも収録!(公式サイトより)

この本が、「●●という構成」を取っているのは「●●というテーマ」を伝えたかったからだ。それさえ書けたら、ノンフィクションもまた読書感想文を書くことが可能になるのです!

読書感想文が「作者の意図を読み取る」練習になる

「構成」から「テーマ」を導き出す。なんだか斜に構えた読み方に思えるかもしれませんが……それは作者の意図を深く読み取る行為そのものだと私は思っています。

読解力を身につけるためには、国語の授業を受けて、先生の話をしっかり聞いて……とイメージしがちですが、もちろんそういった行動も大切である一方で、自分の頭で書籍を主体的に読み解こうとすることも、有意義な訓練になります。

本の楽しみ方は決してひとつではありません。さまざまな楽しみ方があるのです。研究が多様であるように、読書もまた多様です。だとすれば、読書感想文も、多様なものであってほしい。私はそんなふうに考えて、今回のような方法もお伝えしてみました。

大人の方も、ぜひ「本の構成」から「本のテーマ」を導き出す方法、頭の体操に使ってみてくださいね。案外、新しい読書体験ができるかもしれませんよ!

三宅 香帆 文芸評論家

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みやけ かほ / Kaho Miyake

1994年生まれ。高知県出身。京都大学大学院人間・環境学研究科博士前期課程修了。天狼院書店(京都天狼院)元店長。2016年「京大院生の書店スタッフが「正直、これ読んだら人生狂っちゃうよね」と思う本ベスト20を選んでみた。 ≪リーディング・ハイ≫」がハイパーバズを起こし、2016年の年間総合はてなブックマーク数ランキングで第2位となる。その卓越した選書センスと書評によって、本好きのSNSの間で大反響を呼んだ。『なぜ働いていると本が読めなくなるのか』(集英社新書)、『人生を狂わす名著50』(ライツ社刊)、『女の子の謎を解く』(笠間書院)『それを読むたび思い出す』(青土社)など著書多数)。

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