--メイテックの派遣エンジニアは全員正社員です。単純な一般派遣とは違います。派遣の停滞についてお聞かせいただけますか。
派遣事業は、法的には「一般派遣事業」と「特定派遣事業」に分けられますが、この2つは似て非なるものです。
「一般派遣事業」は、契約期間が限られた登録型の派遣で、いわゆる日雇いも含まれます。一方、「特定派遣事業」は正規雇用した人材を企業に派遣する常用雇用型の派遣事業で、当社はこちらに該当します。
さらに当社は、専門26業務の中の機械設計に該当しており、ITやエレクトロニクスなどを含む機械設計の専門技術者を約6000人擁しています。
--“派遣切り”で日雇いや製造業向けの派遣が問題視されるようになりました。労働者派遣法改正案が成立するとメイテックにはどのような影響がありますか。
派遣法改正の議論は、「登録型派遣や製造業派遣は原則禁止(登録型の専門26業務は例外)」という方向で進んでいます。
われわれは常用雇用型の特定派遣事業かつ専門26業務に当たるので、基本的には影響は受けないという見方をしています。ただし、一定のネガティブな影響は受けざるをえないでしょう。「派遣は使わないほうがいい」という社会的な風潮はすでに起きています。
“派遣切り”によって「派遣は雇用が不安定な働き方であり、正社員の下」というイメージが広がりましたし、そもそも派遣が2種類あるということも実はあまり社会に認知されていません。
今も実家に帰省して親戚から「いつまで派遣なんかやってるんだ、そろそろ正社員になれ」と心配されたり、「お父さんは何で派遣なの」と子どもに言われる社員もたくさんいるだろうなと想像します。
それでも頑張ってくれる社員のおかげで当社は成り立っているわけです。社員には本当に感謝しています。
そもそも、労働市場は動的であるべきだと思うのですが、行政のやり方は逆行しています。企業に労働者を正社員という形で押し込めることによって雇用の安定化を図ろうとする考え方では、静的な労働市場が形成されます。結果として労働市場のパイは縮小し、雇用の空洞化が起きるでしょう。また、本来雇用の安定化を目指すならば、非正規全体について議論がなされるべきです。