国が、遠隔操作型小型車等を含む道路交通法の改正に向けた明確な動きを見せたのは、2020年7月のこと。そして、警察庁が「多様な交通主体の交通ルール等の在り方に関する有識者検討会」を開催した。
「多様な交通主体」という名称には、2020年時点で海外でも普及や実証が盛んになっていた「電動キックボード」や「自動配送ロボット」が念頭に置かれ、今後さまざまな小型移動体が登場する可能性が込められている。
このころは、欧米や中国で自動配送ロボットの実証試験が日本に先んじて行われている様子が、テレビやネットで紹介されていた時期でもあった。
そして、2021年12月に公表された同検討会の報告書において、新たな交通ルール(車両区分)として、最高速度や通行できる場所により異なる、大きく3類型が提示された。
歩道通行車(時速6~10km以下)、小型低速車(時速15~20km以下)、そして既存の原動機付自転車等(時速15~20km超)という3つだ。
このうち小型低速車については、2023年7月1日の改正道交法の施行により、特定小型原動機付自転車(特定原付)として新しい車両区分が誕生している。
一般原動機付自転車(一般原付)と区分し、「特例」として歩道等の走行を認めたものだ。特定原付については、「特定原付『7月解禁』で電動キックボードどうなる」「電動キックボード『時速6kmモード』の現実解」に詳しい。
そして、「多様な交通主体」3類型の残りの1つである歩道通行車の中に、遠隔操作型小型車が新たに加わったというわけだ。
「歩道走行型ロボット=遠隔操作型小型車」ではない
ただし、歩道などを移動するロボットのすべてが「遠隔操作型小型車」に該当するわけではない。この解釈が少々、面倒なところだ。
改正道路交通法の施行に伴い、警察庁が2023年7月に公開した「歩道走行型ロボットの公道実証実験に係わる留意事項」によると、以下のように歩道走行型ロボットの定義がある。
「法により歩行者が通行すべき場所として規定されている場所を通行させるロボットであって、自動運転技術又は遠隔操作により通行させるロボット」
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