外国人が呆れる「日本企業の悪習」が調達難を呼ぶ 「全員納得が前提」で買い負ける残念ジャパン

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「当初の値上げが30%アップとしますよね。3カ月かかって、交渉で27%アップに抑えられるわけです。3%を低減させるから、見た目はいい。だけど、そんな面倒な日本企業らには売らないですよ」

全員納得が前提なのだから、もちろん時間がかかっていく。

「30%の値上げといわれる。私たちは難色を示します。とはいえ、相手も大人だから交渉には付き合ってくれます。しかし、交渉が解決するときには、『おたくに供給できる分はありません』といわれる。これが現実です」

そして、面倒な客と思われたら最後、それ以降、もう供給分がまわってくることはない。

日本企業の構造と調達難の根は深い

ドイツの自動車部品メーカーにヒアリングしてみた。値上げを申請してきた仕入先には即答したらしい。納品してほしいから、すぐさま値上げを認める。最悪、納品できなくてもいいなら値上げを認めない。この差異をつけて交渉した。

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彼らはドイツ企業だが、欧米ではフォーミュラ方式が広がる。

フォーミュラについて説明が必要かもしれない。たとえば購入金額が100円の製品があるとする。そのうち20円が銅のコストとしよう。そのとき、変動要素は銅の20円分とあらかじめ確約しておく。そして、それからの数カ月で世界の銅価格が20%上昇したとする。ならば、20円の20%だから4円を機械的に値上げする方式だ。事実の確認であり、交渉の余地はない。

このフォーミュラは買い手にとって不利な条件ではない。逆に銅市況が下がるときには面倒な交渉を経ずに価格を引き下げられる。買い手と売り手の双方にとって合理的な手法といえる。

しかし、日本ではそもそも決めた価格を変動させるのが企業全員に許容されないのもあってフォーミュラの導入が一部しか進んでいない。

全員参加と全員納得の可否は読者に委ねるが、リスクとデメリットがあるのは間違いがない。この日本企業の構造と調達難の根は深い。次回も違う観点から深掘りする。

坂口 孝則 未来調達研究所

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さかぐち・たかのり / Takanori Sakaguchi

大阪大学経済学部卒。電機メーカーや自動車メーカーで調達・購買業務に従事。調達・購買業務コンサルタント、研修講師、講演家。製品原価・コスト分野の分析が専門。代表的な著作に「調達・購買の教科書」「調達力・購買力の基礎を身につける本」(日刊工業新聞社)、「営業と詐欺のあいだ」(幻冬舎)等がある。最新著は「買い負ける日本」(幻冬舎)。

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