そして私は、このモノ不足が日本企業の体質によるものではないかと思うに至った。もし市況の関係で一旦はラクになった企業があっても、またふたたび調達難が襲うのではないか。そう考え、これから教訓の意味でも、日本企業が買い負ける状況を現場から発信してみたい。
日本人はNATO(Not Action Talk Only)である
私はコロナ禍前の2019年にイスラエルに出張した。軍事技術の転用により多くのイノベーションを生み出している国の秘密を知りたいと思ったのだ。その旅程で急遽、会うことになったベンチャーキャピタリストがいた。
氏はイスラエル企業と日本企業の橋渡しも仕事としていたが、氏の印象的なフレーズがあった。
「日本はNATOと呼ばれています」
いや日本はNATO(北大西洋条約機構)ではありませんよ、と言おうとした私を遮って教えてくれた。
「Not Action Talk Only です。話すだけで何も動いてくれない」
日本企業は多階層の承認を前提とするから、氏なりの苦労があったに違いない。それをユーモアとして表現したのだろう。しかし私には重く響いた。
同様のことは中国の深圳でも聞いた。
「先月、うちの工場に日本企業がやってきた。いろいろな部署の人たちで10人もいた。二日にかけてあれこれ質問したり現物を見たりしていたけれど、あれからいっこうに物事が進まない。なんのためにやってきたのか。他国の企業は決まっても、決まりどおりに進まない。ただし、日本は決まったら確実にやってくれるけど、決まるまでが遅すぎる」
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