結婚が「10年で半減」中国で何が起きているのか 結婚したい女性たちは「脱中国」を企てている

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中国の婚姻件数は9年連続で減少し、10年足らずで半減した(写真:Qilai Shen/The New York Times)

中国の若者にとって、この3年は過酷だった。企業の解雇が相次ぎ、失業率は急上昇。鬼のように厳しいコロナウイルス規制は終了したものの、それが生み出した将来不安が解消したわけではない。

多くの人々にとって、こうした混乱は人生の重要な決断を先延ばしにする理由のひとつとなっている。その影響は婚姻率の記録的な低下を招き、人口危機を食い止めたい政府の取り組みを難しくしている。

苛烈ロックダウンのトラウマ

テクノロジー業界で働くグレース・ジャンは以前から結婚に対して具体的なイメージを抱いていなかったが、昨年、上海当局による2カ月間にわたるロックダウンを経験。自由に動く能力を奪われ、封鎖がほかの都市にも広がるのを見るにつれて、彼女の楽観的な感覚は薄れていった。

昨年12月に中国の社会・経済活動が再開されると、31歳のジャンは上海を離れ、リモートワークをしながら都市から都市へと移動した。風景の変化が、前向きな気持ちを取り戻させてくれることを期待したのだ。

彼女は今、不況により周囲で解雇が増加するのを目の当たりにし、自分の仕事が未来の家族を支えていけるほど安定しているのか疑問に感じるようになっている。ボーイフレンドはいるが、すぐに結婚する予定はない。しかし、父からは「そろそろ落ち着きなさい」と、しつこく言われている。

「こうした不安定さのせいで、人々は人生で新しい変化を起こすことをますます恐れるようになる」とジャンは言う。

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