結婚が「10年で半減」中国で何が起きているのか 結婚したい女性たちは「脱中国」を企てている

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30歳の男性、シュー・シーは今年、多国籍ハイテク企業の仕事を辞めて国有企業に転職した。給料は50%下がり、現在の年収は約2万8000ドル(約390万円)になったが、より安定した仕事を求めていたと言う。

この転職によって彼は、来年ガールフレンドにプロポーズする準備ができたと感じている。ただ、子どもを持つつもりはない。恐ろしいほどお金がかかるためだ。中国は豊かになっているにもかかわらず、多くの人々がより貧しくなったと感じていると彼は話した。

結婚したい女性が企てる「祖国脱出」

そうした感情は間違いなく、働く人々の結婚に対する考え方に影響する。中国の人口動態学者によると、1人当たりGDP(国内総生産)を踏まえて計算した場合、中国は韓国に次いで世界で2番目に子育てにお金がかかる国となっている。

「今のところ、私はまだ安定を求めていて、経済の動向に目を向けている」と、内陸部の都市・成都に住むシューは言った。

2020年まで中国での生活を楽観視していたと語るのは35歳の女性、エリン・ワンだ。その後、彼女は政府が民間企業を締め上げ、その過程で雇用を奪い、パンデミックに対して強引な措置をとるのを目の当たりにした。このようにますます権威主義的になっていく環境に彼女は懸念を募らせるようになった。

「中国で子どもを産む自信がまったく持てないように感じた」とワンは言う。

彼女は今のところ中国にとどまっているが、中国を脱出する計画を立てている。外国の銀行に一部の資金を移し、海外のビザについて調べているところだ。

「本当は結婚したい」と語るワンはこうも言った。「でも、適切な相手が見つからなくても、死ぬわけじゃない」。

(執筆:Nicole Hong記者、Zixu Wang記者)
(C)2023 The New York Times

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