賛否両論の話題作「VIVANT」と「半沢直樹」決定的差 同じ堺雅人主演、福澤監督の両作に明確な違い

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そのスタンスから「半沢直樹」のように扇情的な脚本・演出でわかりやすさを追求した作品とは違うことがわかるのではないでしょうか。ここまでの「VIVANT」は、「どんなジャンルのどんな物語か言いづらい」という感がありました。これがおおむね好発進ではあるものの、爆発的なロケットスタートにならなかった理由であり、誤算と言えるのかもしれません。

ただ、バルカ共和国から脱出して帰国し、丸菱商事に戻った乃木が「半沢直樹」のように、社内外の悪を成敗していく……という可能性もあるでしょう。また、池井戸潤さんの小説を贅沢に2冊ずつ使った「半沢直樹」のようなハイテンポな展開が盛り込まれたらネット上は盛り上がりそうです。

砂漠や動物の映像は「CG」の誤解

ネット上の声を見ていたとき最も驚かされたのは、モンゴルでの長期ロケで撮影した映像を「CG」だと思っている人が意外に多かったこと。

(写真:「VIVANT」サイトより)

実際はモンゴルに約250名のキャストとスタッフ、3000頭以上の馬、ラクダ、ヤギ、ヒツジなどを集めて、約1000キロを縦断しながら2カ月半にわたる長期ロケが行われました。ドラマに限らず日本のエンタメシーンでは前代未聞のスケールだけに、その挑戦や努力がうまく伝わり切れていなかったのなら残念です。

「VIVANT」は第1話の放送までほとんどの情報を伏せるという異例のPR戦略が採用されました。視聴者に明かされたのは、タイトル、出演俳優とスタッフ、モンゴルでのロケのみ。TBS局内でも秘密が徹底されるなどの情報管理が行われました。このPR戦略は、出演俳優の豪華さや福澤監督の実績に自信があるからこそ行えるものであり、「どんな作品なのか」という期待感を高める一定の効果は得られたでしょう。

しかし、秘密を徹底したことで、モンゴルでのロケが十分に伝わらなかった感は否めません。「そんなに凄いロケをしたことを聞いていたら見たのに」という人は少なくなかったのではないでしょうか。

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