採用も昇進も「世界基準」 外資へ日本女性”流出”

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 やはり女性従業員比率が6割近いP&Gジャパンは、日本でダイバーシティに取り組んで16年になる。国内競合との闘いに勝つためには、日本人女性の視点をものづくりに活かす必要があったのだ。特に、新入社員における男女比の目標値を設定したことが、女性活用を後押しした。ちなみに、国内日用品首位の花王は単体女性従業員比率15%で、女性管理職比率は6・9%しかない。
 
 最近、世界各国のP&Gに、日本発の”合い言葉”が広まりつつある。「ベターワーク・ベターライフ」--ラヴィ・チャタベイ前P&Gジャパン社長が提唱した言葉だ。「仕事とそれ以外が50対50でバランスする必要はない。子どもが小さいときは家庭80仕事20でもいいし、子どもが成長したら仕事の配分を増やせばいい」(牧野光P&Gジャパン・ダイバーシティ担当マネージャー)。

管理職登用は当たり前、女性役員も続々誕生

 女性役員も外資系ではもう珍しくない。日本ゼネラル・エレクトリック(GE)はグループ全役員のうち19%、つまり5人に1人が女性だ。05年末の6%から急上昇し、管理職全体の11%を上回る。山下美砂・日本GE取締役兼人事本部長は「ダイバーシティは、経営の意思決定ができる層で進んでいるかどうかが重要。女性登用もトップ層から進めている」と語る。女性登用は一般社員や中間管理職から一歩ずつ、という”積み上げ型”が主流の日本企業とは対照的で、いわば ”引き上げ型”。「経営のあらゆる面でスピードを重視するGEにとって、(積み上げ型は)時間軸が長すぎる」(山下氏)のだ。山下氏自身も引き上げ型の大抜擢でスピード昇進した1人。「私自身想像もしていなかった。スキルが未知数の人材を大胆に起用できるのは、組織にリスクテイクする文化があるからだ」(同)。
 
 企業向け業務ソフト大手のSAPジャパン(独SAP100%出資)では1月15日付で、CFOの井野勢津子氏が代表取締役に昇格、八剱洋一郎社長との2人代表になった。大手外資でも代表権を持つ女性取締役の誕生はほとんど例がない。入社はサントリーだが、MBA取得後はペプシ、サン・マイクロシステムズなどの米本社勤務を経験した。「タイトルはぜんぜん気にしない。自分が会社から得るものがある、つまりギブに対してのテイクがある間はしっかり勤めます」という井野氏。今年は買収したビジネスオブジェクツ社との統合作業が最も大きな仕事になりそうだ。
(週刊東洋経済編集部)

(日本企業で活躍する女性幹部は2月6日に掲載する予定です)

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