「いやいや、それくらいでうまくいくなら、とっくの昔にできているはず」「うちの子はそれくらいじゃ全然変わらない」。そう思ったかたも多いのではないでしょうか。はい、これはあくまで完全にうまくいった場合の例です。
「うまくいったとき」といわれると、「完全にうまくいったとき」をイメージするかたがほとんどではないでしょうか。実は、そこに落とし穴があります。
変化をもっと細かい段階に分けてみるのです。「ちょっとマシ」「マシ」「まあまあ」「いい」「めっちゃいい」の5段階くらいで捉えてみてください。多くの人は完全にうまくいった「めっちゃいい」しかイメージしていないので、目の前の状況を「ちっともよくなっていない!」と感じてしまいがちです。
「ちょっとマシ」を探してみる
実は、「ちょっとマシ」に変化の種が埋まっています。その種を見つけて水をやり、時間をかけて「ちょっとマシ」から「マシ」、その先へと育てていくのです。
まずは、「ちょっとマシ」を見つけてみてください。たとえば、いつもは「宿題は?」と3回言って、やっと子どもが宿題に取りかかっていたのに、今日は1回言っただけで宿題を始めることができた。これも立派な「ちょっとマシ」です。
ほとんどの子どもは、「ちょっとマシ」な状況だったときも、「いつもどおりにやった」としか思っていません。そのため、「いつもは3回言わないと宿題を始めないのに、今日は1回言ってできたからびっくりしちゃった!」と、大人がそれを言語化してあげてください。「うれしい」「すごい」よりも、「びっくり」「驚いた」と伝えたほうが効果的です。
もし話が続けられそうだったら、子どもに「今日はいつもと何が違ったの?」と聞いてみてください。明確な答えが返ってこなくてもOKです。子どもが「違いを気にした」こと自体に意味があります。
翌日には、また「宿題は?」と3回聞くことになるかもしれません。がっかりするかもしれませんが、1回でできた日があったことに意味がなかったわけではありません。また別の「ちょっとマシ」を見つけてみてください。
回数が減った、時間が短くなった、気持ちの切り替えがちょっと早くなった、自分から少し伝えられた、自分から確認しようとしたなど、「ちょっとマシ」なら、けっこう見つかるかもしれません。
少し高度ですが、「しようとした」も、ぜひ見つけて育てたい変化の種です。「今、自分から〇〇しようとしたね」と伝えると、まだやっていない行動でも「やろうとしたことを認めてもらった」と思えるので、次の変化へとつながりやすくなります。
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